カナダのナタネ輸出港周辺において遺伝子組換えナタネの分布は拡大しない

タイトル カナダのナタネ輸出港周辺において遺伝子組換えナタネの分布は拡大しない
研究期間
研究担当者 生物多様性研究領域 吉村泰幸
松尾和人
発行年度 2006
要約 日本への主なナタネ輸出港であるカナダのバンクーバーで遺伝子組換えナタネを含むセイヨウナタネの分布を調査しました。その生育場所は鉄道線路やその周辺の道路に限られており、そこからほとんど拡大していないことが明らかとなりました。
背景・ねらい 日本はナタネの99%以上を輸入していますが、いくつかのナタネ輸入港周辺で除草剤耐性遺伝子組換えナタネ(以下組換えナタネ)の生育が報告され、その分布拡大が懸念されています。組換えナタネを含むセイヨウナタネはカナダ西部のプレーリー地帯で生産され、貨物列車でバンクーバー港の穀物ターミナルヘ輸送された後、そこから日本などへ船舶で輸出されています。その輸送中には、日本と同様に組換えナタネがこぼれ落ちによって野外へ拡散している可能性があります。そこで、本研究では輸出港周辺における組換えナタネの分布状況から、日本の輸入港周辺において拡大する可能性を予測できると考え、バンクーバーにおける調査を実施しました。
成果の内容・特徴 2005年の調査の結果、組換えナタネは、バンクーバー港や市街の線路と線路近くの道路に生育しており、特に北側のバラード入江の穀物ターミナル付近で多く見られました(図1)。ナタネ群落の密度およびその面積は穀物ターミナルにおいて特に大きい傾向がありました(図2)。サンプリングした個体の65%は組換えナタネであり、グリホサート耐性の方がグリホシネート耐性の個体数より多く、特に、線路周辺で採取したナタネの各耐性の割合は、各耐性別栽培割合とよく似ていることから、線路周辺のこぼれ落ちナタネの割合は、栽培地域のナタネ品種の割合を反映していると考えられました(表1)。
カナダでは組換えナタネを栽培し始めてすでに10年が経っており、現在のナタネ栽培面積の80%以上を占めていますが、仮に遺伝子組換えナタネが他種を駆逐し、旺盛な繁殖力を持つのであれば、すでに放棄地、河原などに大きな群落が見られると推測されます。しかし、バンクーバー全域にわたって調査を行いましたが、その生育場所は鉄道線路やその道路周辺に限られていました。今回の調査によって、こぼれ落ち種子からの組換えナタネを含むナタネの生育範囲は限定されていることが確認され、わが国においても組換えナタネの分布が拡大する可能性は低いことが確認されました。
図表1 225464-1.jpg
カテゴリ 病害虫 除草剤 なたね ばら 繁殖性改善 品種 輸出 輸送

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