ヘキサクロロベンゼン(HCB)を好気的に分解・無機化する細菌の単離・同定と主要代謝経路の解明

タイトル ヘキサクロロベンゼン(HCB)を好気的に分解・無機化する細菌の単離・同定と主要代謝経路の解明
研究期間
研究担当者 亀井一郎(現
有機化学物質研究領域 高木和広
発行年度 2008
要約 ペンタクロロニトロベンゼン(PCNB)を炭素・窒素源とした土壌・木炭還流法により単離した細菌PD653株はPOPs(残留性有機汚染物質)であるHCBを好気的にPCP(ペンタクロロフェノール)に変換し、さらに脱塩素分解・無機化できます。Nocardioides属に属する新種で、世界で唯一のHCB資化性菌です。
背景・ねらい
ヘキサクロロベンゼン(HCB)はPOPs条約(2001年5月に採択された国際条約)の対象物質ですが、これを好気的に分解・無機化出来る微生物は報告されていません。そのため、環境中に長期間残留しているHCBのバイオレメディエーション(環境修復)技術の開発が進んでいません。農業環境技術研究所では、これまでに我々が開発した土壌・木炭還流法を用いてHCBの類似化合物であるPCNBを分解する細菌PD653株を単離することに成功しています。そこで、単離した菌株を同定し、HCBを好気的に脱塩素分解・無機化出来るか検討しました。さらに、その主要代謝経路を明らかにしました。

成果の内容・特徴 PCNBを好気的に脱塩素分解する細菌PD653株を発見しました。本菌は16S rRNA遺伝子の塩基配列を基づく系統樹の位置からグラム陽性のNocardioides属に属する新種であることが明らかになりました(図1)。14Cで標識したHCBを唯一の炭素源とした無機塩培地を用いてPD653株を培養するとHCB濃度が減少し、14CO2が生成しました(図2左)。また、PD653株はHCBを唯一の炭素源とした培地中で増殖し、Cl-濃度の増加が確認されました(図2右)。これらの結果から、PD653株はHCBを好気的に脱塩素分解し、無機化することが明らかになりました。PD653株を用いてHCBの好気的代謝試験を行ったところ、HCBは速やかに脱塩素化され、初発代謝物としてPCPが産生され、さらに、代謝物としてTetracholohydroquinone (TeCH)、2,6-Dicholohydroquinone(DiCH)が検出されました(図3)。
このように、Nocardioides sp.PD653株は、HCBを好気的に分解・無機化できる細菌として世界で始めて単離・同定された菌株(野生株)であり、HCB汚染土壌のバイオレメディエーションへの適用に大変有望な菌株として期待されています。
図表1 225523-1.jpg
図表2 225523-2.jpg
図表3 225523-3.jpg
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