マウス白血病ウイルス受容体の発現分布

タイトル マウス白血病ウイルス受容体の発現分布
担当機関 (独)農業技術研究機構 動物衛生研究所
研究期間 1994~2000
研究担当者 加藤花名子
高瀬-余田明
松原 豊
相沢志郎
池田秀利
渡辺里人
北川昌伸
木谷 裕
鈴木孝子
発行年度 2001
要約 マウス白血病ウイルスについて,受容体の発現分布を培養細胞,動物個体由来の細胞で調べた。受容体の発現はウイルス感受性とほぼ一致し,宿主細胞で発現されるウイルスEnvによって,感染に必要な受容体がブロックされることが示唆された。
要約(英語) 17. Expression of cellular receptor for ecotropic murine leukemia virus
 Binding of viruses to cellular receptors is the first step of virus infection, and expressions of receptors on host cells are closely related to the host range of viruses. Murine leukemia virus is one retrovirus, and used for basic analysis because of its genetically simple structure. The receptor for ecotropic murine leukemia virus (Eco-MuLV) was identified at mouse cationic amino acid transporter-1 (mCAT-1). Eco-MuLV receptor was expressed only on the surface of Eco-MuLV susceptible murine cell lines. In cells that expressed Eco-MuLV envelope proteins; cells which have an endogenous MuLV, which are persistently infected with MuLV or which are transfected with envelope expression plasmids, cellular receptors were suggested to be interfered by the envelope protein. This interference was observed not only in cultured cells but also in cells from mouse. (Immune Response Section, Department of Immunology TEL +81-298-38-7790)
Reference:
1. Ikeda et al.(2000)J. Virol. 74:1815-1826.
2. Suzuki et al.(2001)Arch. Virol. 146:507-519.
3. Kitagawa et al.(2001)Leukemia 15:1779-1784.
キーワード  マウス白血病ウイルス,envelope,受容体,感受性
背景・ねらい ウイルス感染の第一段階はウイルスの受容体への結合であり,宿主におけるウイルス受容体の発現と宿主のウイルス感受性との関係を調べることは,ウイルス感染の制御にむけて大きな意味を持つ。レトロウイルスの一種であるマウス白血病ウイルス (MuLV) は
,構造が単純で解析が容易であることからレトロウイルスの様々な基礎的研究に用いられている。MuLVはいくつかに分類されており,その中のecotropic MuLV (Eco-MuLV)受容体は
,陽イオンアミノ酸トランスポーター(mCAT-1)であることが明らかになっている。そこで,培養細胞およびマウス個体の持つEco-MuLV感受性とEco-MuLV受容体の発現との関係を調べた。
成果の内容・特徴  
1.
内在性Eco-MuLV,Fv4のenvelopeタンパク質 (Env) を用いて,受容体mCAT-1の発現を調べた。Fv4 Envは,mCAT-1を発現しているマウスNIH3T3細胞には結合したが
,発現していないウサギSIRC細胞には結合しなかった。またFv4 Envは,SIRC細胞にmCAT-1を導入したSIRC-NIH EcoR細胞には結合し,受容体を発現している細胞に特異的に結合することが確かめられた(図1)。
2.
Fv4 Envを用いて,種々の培養細胞でのmCAT-1の発現を調べた。図1に示す通り
,Fv4 EnvはM. musclus(マウスの一種)以外の動物種由来の細胞株には結合しなかった。また,M. musclus由来の細胞でも,内在性Eco-MuLVを持つ細胞株
,Eco-MuLVを持続感染させた細胞株,Eco-MuLVのEnvを発現させた細胞にはFv4 Envの結合は見られず,ウイルス感染に必要な受容体が細胞内で発現されるEnvによってブロックされていることが示唆された。これらの細胞のウイルス感受性とFv4 Env結合性はほぼ一致していた。
3.
マウス個体の持つ感受性・抵抗性と受容体の発現との関係は,Eco-MuLV Envと蛍光タンパク質 GFPとの融合タンパク質 (F-SU/GFP)を用いて解析した。Eco-MuLVに感受性のBALB/cマウスでは
,すべての造血系細胞にF-SU/GFPが結合し,TER119陽性の赤芽球では,mCAT-1の強い発現が確認された(図2)。
4.
内在性Eco-MuLV Envを発現し,Eco-MuLV感染に抵抗性を示すC4Wマウス,内在性Eco-MuLV Envを発現しているがEco-MuLV感染に感受性を示すAKRマウスの造血系細胞についても
,同様の解析を行った。C4Wマウス,AKRマウスの細胞はBALB/cマウスの細胞と異なり,共にF-SU/GFPの結合が見られなかった。Eco-MuLV感受性の違いにもかかわらず
,C4WマウスとAKRマウスの細胞では,違いが見られなかった(図3)。
成果の活用面・留意点  
1.
宿主細胞で発現されるウイルスEnvによって,外来性ウイルスの感染に必要な受容体がブロックされることが明らかとなり,抗病性家畜等の作出への応用も考えられる。
2.
ウイルスに感受性であるにもかかわらずEnvの結合が観察されない例があることから,細胞・動物によっては第二の受容体が存在する可能性や,受容体への結合にrecombinant Envでは再現できない立体構造が重要である可能性もある。
図表1 225730-1.gif
図表2 225730-2.gif
図表3 225730-3.gif
カテゴリ 抵抗性

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