タイトル | 北海道で集団発生した新型牛パピローマ(乳頭腫)ウイルスによる牛乳頭腫症 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 動物衛生研究所 |
研究期間 | 2005~2005 |
研究担当者 |
畠間真一 前田友起子(北海道家保) 芝原友幸 和田好洋(北海道家保) 門田耕一 内田郁夫 菅野 徹 |
発行年度 | 2005 |
要約 | 2004年秋∼2005年、北海道の1牧場において牛乳頭腫症が集団発生し、経済的被害をもたらした。本集団発生には、牛パピローマウイルス6型(BPV-6)およびこれまでに報告されていない新しい遺伝子型のBPV(Type IおよびType II)が関与している。 |
キーワード | 乳用牛、乳頭腫症、パピローマウイルス、集団発生、系統解析 |
背景・ねらい | 乳頭型牛乳頭腫症は、1、5、6型の牛パピローマウイルス(BPV)に起因する乳頭部皮膚の良性腫瘍であり、多くは自然治癒するが、まれに持続化や悪性化の経過をたどる。2004年秋∼2005年、北海道の1牧場において、17∼26ヶ月齢のホルスタイン種700頭中、約150頭(21%)の乳頭に良性腫瘍が集団発生し、感染の拡大や長期にわたる病変の持続などから、子牛の市場価格低下や搾乳障害などの経済的損失をひきおこした。そこで、本集団発生から14検体の腫瘍病変を採取し、病理組織像の観察および、免疫組織化学的検査により病態解明を行うとともに、分子遺伝学的検査により病原ウイルスの系統樹解析を行う。 |
成果の内容・特徴 | 1. 乳用牛の乳頭に形成された腫瘍は、すべて肉眼的に平滑円形型であり、欧米で報告されているシダ葉型や米粒型の腫瘍は認められなかった(図1)。 2. 本病変は病理組織学的に、角質層の肥厚、有棘細胞の増生、顆粒細胞における好塩基性核内封入体の形成を主徴とし、真皮の線維性増殖を伴わない皮膚の乳頭腫であった。 3. 免疫組織化学検査で、封入体領域にBPV抗原が検出され(図2)、透過型電子顕微鏡によって封入体に一致してウイルス粒子が確認された。 4. 採取した全ての腫瘍(14検体)からBPV遺伝子が検出された。分子系統樹解析を行った結果、これまでに知られている1∼6型のうち、6型に近縁なウイルス(79 %)と、既存のいずれの型にも属さないウイルス(Type I: 21 %、Type II: 21 %)の、少なくとも3 種類のBPVが検出され、それらの単独感染(79 %)または重複感染(21 %)によって、本集団発生がひきおこされたことが明らかとなった(図3)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 新型パピローマウイルスによる牛乳頭腫症が、今後流行する危険性が考えられる。 2. 本研究の成果は、牛乳頭腫症の診断および防疫対策に有用な資料となる。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
カテゴリ | ひきおこし |