プリオン不活化の迅速評価法

タイトル プリオン不活化の迅速評価法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
研究期間 2004~2006
研究担当者 横山 隆
吉岡 都
高田益宏
佐藤晃一(エスケーテック株式会社)
須藤 孝(循環社会研)
村山裕一
品川森一
堀井寛子
毛利資郎
発行年度 2006
要約  試験管内で異常プリオン蛋白質(PrPSc)を増幅するPMCA法を用いると、不活化処理後に残存するスクレイピーPrPScを超高感度に、しかも、バイオアッセイに比べて極めて迅速に不活化を評価することができる。
キーワード プリオン不活化、灰化処理、オートクレーブ、バイオアッセイ、PMCA
背景・ねらい  異常プリオン蛋白質(PrPSc)の不活化の確認には、動物に接種し、発症の有無で判定するバイオアッセイが用いられる。この方法は実験動物を長期間飼育・観察する必要があり、膨大な手間と費用がかかる。不活化処理後、残存するPrPScを短期間に検出できる高感度な方法が開発されれば、プリオン不活化の評価法が著しく改善される。本研究では試験管内でPrPScを増幅するPMCA (protein misfolding cyclic amplification)法を応用するスクレイピープリオン不活化評価法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. スクレイピー株、Sc237感染ハムスター脳をミンチ状にし、約0.5gを灰化処理により不活化する。オートクレーブ処理は感染ハムスター半脳を用い処理条件は表1に示す。
  2. 不活化処理サンプルは生理食塩水に懸濁し、3~5匹のハムスタープリオン蛋白質発現マウスに脳内接種した。灰化処理したサンプルを接種されたマウスは接種後525日以上を経過しても症状を示さなかった。一方、オートクレーブによる不活化には152℃以上の処理が必要である(表1)。
  3. 正常ハムスター脳乳剤と不活化処理サンプルを10:1に混合し、PrPScを増幅した。増幅産物はさらに正常脳乳剤で1/10に希釈し、増幅反応を繰り返した。すべての灰化処理サンプル、および152℃以上のオートクレーブサンプルからはシグナルは検出されない。一方、142℃以下のオートクレーブサンプルでは、明瞭なシグナルが検出される。
  4. PMCA増幅の結果はバイオアッセイの結果とよく一致している。3回のPMCA増幅には6日しか要せず、PMCA法を用いた評価法はバイオアッセイよりも極めて迅速である。
成果の活用面・留意点  PrPScの超高感度検出が可能なのは、現状ではハムスターとマウスのスクレイピーPrPScのみである。他の動物種のPrPScの増幅には、新たな増幅方法の開発が必要である。
図表1 225843-1.gif
カテゴリ シカ 評価法

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