飼料イネサイレージ中かび毒ウスチロキシンAの定量法

タイトル 飼料イネサイレージ中かび毒ウスチロキシンAの定量法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
研究期間 2006~2010
研究担当者 宇地原務(沖縄県)
宮崎 茂
松本裕一(福島県)
森本和秀(広島県)
発行年度 2008
要約  サイレージ水抽出物を固相抽出精製し、高速液体クロマトグラフィーにより分析することにより、飼料イネを汚染する可能性のあるかび毒ウスチロキシンAを定量できる。
キーワード 飼料イネ、サイレージ、稲こうじ病、ウスチロキシンA、高速液体クロマトグラフィー
背景・ねらい  天候不順等により、飼料イネに稲こうじ病が発生する。稲こうじ病起因菌は種々のかび毒を産生することが知られており、これらの物質の牛に対する影響が懸念されている。本研究では、稲こうじ病菌が産生する主要なかび毒であるウスチロキシンAのサイレージ中濃度を定量する分析法の開発を目的とする。
成果の内容・特徴
  1. サイレージの水抽出物を固相抽出(Oasis MAX、Waters)で精製し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析することにより、ウスチロキシンAを定量することができる(図1)。
  2. 本法による平均回収率は89%~96%、日間の繰り返し精度も10mg/kgレベルでは相対標準偏差(RSD)が10.4%と、充分な精度を有している。2.5mg/kgレベルでは日間RSDが19.8%であることから、このレベルが定量下限である(表1)。 HPLCで検出されたピークの特異的吸収スペクトル(吸収ピーク207nm、253nmおよび290nm)からウスチロキシンAを同定できるので、分析の特異性が高い(図2)。
  3. 稲こうじ病の発生が軽度であった飼料イネから調製したサイレージ中のウスチロキシンA濃度は定量下限以下であるが、稲こうじ病に高度に汚染した飼料イネから調製したサイレージには、8~26mg/kg 程度のウスチロキシンAが含まれている(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 稲こうじ病発生飼料イネから調製したサイレージのウスチロキシンA汚染の程度を判断できる。
  2. かび毒の汚染は圃場で均一ではないので、試料の採取にあたっては注意が必要である。可能であればコアサンプラーを使用することが望ましい。
図表1 225902-1.gif
図表2 225902-2.gif
図表3 225902-3.gif
図表4 225902-4.gif
カテゴリ 稲こうじ病

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