タイトル |
ヒートショック応答を用いた各種抗変異原の分類と特性解明 |
担当機関 |
畜産試験場 |
研究期間 |
1995~1995 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
大腸菌を用いて、各種抗変異原の活性がヒートショック応答及び培養温度の関与により変動することを明らかにし、作用機構に基づく抗変異原の分類を行った。また、ヒートショック遺伝子 groELの産物が抗変異原性を抑制していることを見いだした。
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背景・ねらい |
近年、変異原に関する研究の進展に伴い、変異原の活性を抑制する抗変異源が存在することが明らかにされ,新しい抗変異原の検索、抗変異原性の作用機構の解明等が強く求められている。我々は大腸菌に紫外線照射して変異を起こさせる系を用いて、脂肪酸過酸化物中の不飽和アルデヒド類に抗変異原性があることを見いだした。さらに、最も活性の強かったアクロレインについて抗変異原性の発現機構の検討を行い、培養温度が抗変異原性に大きな影響を与えることを明らかにしてきた。今回、10種の抗変異原を用いて、培養温度の抗変異原性への関与について検討を行うとともに、培養温度と関連の深いヒートショック応答についても検討を行い、抗変異原性の発現機構に関する基礎的知見を得ようとした。
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成果の内容・特徴 |
- ほとんどの抗変異原において培養温度の上昇に伴い抗変異原性が増大したが、個々の抗変異原によって培養温度の関与は異なり、アクロレイン、亜セレン酸ナトリウム、クロトンアルデヒド、メチルビニルケトン、2-ヘプテナール等が関与の大きい抗変異源であった(図1)。
- ヒートショック応答抑制株( HS抑制株 )における抗変異原の増大もほとんどの抗変異原においてみられたが、亜セレン酸ナトリウム、塩化コバルト、アクロレイン、2-ヘプテナール、o-バニリン等が関与の大きい抗変異源であった(図2)。
- 培養温度とヒートショック応答の関与の程度から、両者の関与を強く受けるもの、どちらか一方の関与を強く受けるもの、どちらの関与も受けないものの4種類に抗変異原をグループ分けでき、抗変異原の作用機構に基づく抗変異原の分類が可能になった(図3)。
- 主なヒートショック遺伝子抑制株を用いて、抗変異原性に関与する遺伝子を検索した結果、groEL遺伝子の関与がもっとも大きいことが示唆された(図4)。
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成果の活用面・留意点 |
温度上昇及びヒートショック応答抑制による抗変異原性の増大は初めて見いだされたものであり、特にgroEL遺伝子の関与を特定できたことにより、抗変異原性のメカニズムの検討が容易になった。また、温度上昇とヒートショック応答の関与の程度によって、抗変異原性の発現機構に基づく抗変異原の分類が可能になった。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
クロトン
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