枝分かれを制御する遺伝子の発見

タイトル 枝分かれを制御する遺伝子の発見
担当機関 農業生物資源研究所
研究期間 1998~1998
研究担当者
発行年度 1998
要約 ペチュニアから単離したジンクフィンガー型転写因子PetSPL3のcDNAをペチュニアで高発現させると、枝分かれを著しく促進することがわかった。本遺伝子は、正常なペチュニアでは葉脇の腋芽の基部に発現している。枝分かれの促進や抑制による生産性の向上、作業の効率化、新園芸品種の作出などの実用技術への応用が期待される。
背景・ねらい 枝分かれの制御は、作物の生産性、作業の効率化、新しい園芸品種の作出等の観点から重要な形態上の形質であり、これを遺伝子工学的に制御する技術が求められている。形態形成の制御の諸過程には、転写因子が中心的な働きをすることが知られており、機能未知の転写因子を解析することによって、形態制御における新たな機能を見出せることが期待される。そのため、ペチュニアからジンクフィンガー型転写因子の遺伝子を単離し、それらが形態制御において果たす機能を形質転換系を用いて解析した。
成果の内容・特徴
  1. タンパク質構造中に保存されたアミノ酸配列が存在することを利用し、多数のTFIIIA型ジンクフィンガー(ZF)型転写因子の遺伝子をペチュニアから系統的に単離した。
  2. PetSPL3cDNAをCaMV35Sプロモーター制御下に高発現させると、形質転換ペチュニアの分枝を著しく促進することを見出した(図1)。花にも変化(花弁の外縁の着色および内側への湾曲)が見られた。
  3. GUSレポーター遺伝子を用いた解析によって、PetSPL3 遺伝子は、正常な植物では休止中の腋芽に特異的に発現していることがわかった(図2)。また、茎頂を切除すると腋芽の伸長が開始するが、これと同時にPetSPL3発現は急速に消失することが見出された。
  4. 以上の結果から、PetSPL3 は分枝の制御(頂芽優勢の制御)に中心的な役割を果たす転写因子であると考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. PetSPL3 遺伝子の枝分かれ促進機能はペチュニア以外の多くの植物にも保存された機能であると推測される。したがって、本遺伝子を利用することによって、枝分かれの促進による作物の生産性の向上や新品種の作製などの実用技術への発展が期待される。
  2. PetSPL3 遺伝子の発現を抑制した時に枝分かれの抑制が起こるかどうかを今後検討する。これが可能であれば、アンチセンス法やコサプレッション法を本遺伝子に用いることによって、トマトなどの摘芽作業を不要にする技術に発展する可能性もある。
図表1 226223-1.jpg
図表2 226223-2.jpg
カテゴリ 新品種 トマト 品種 ペチュニア

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