アブラナ科植物の自家不和合性認識機構

タイトル アブラナ科植物の自家不和合性認識機構
担当機関 農業生物資源研究所
研究期間 1998~2000
研究担当者
発行年度 1998
要約 アブラナ科植物の自家不和合性はSLGとSRKにより制御されていると広く考えられてきた。しかし、異なるS 遺伝子型のSLG が極めて似ている例があること、SLG が欠失しているとも考えられるS 遺伝子型があることから、SLG は自家不和合性の認識には重要でない可能性が示された。
背景・ねらい 自家不和合性とは自己花粉の受精を妨げる機構であり、アブラナ科野菜のF1種子生産にも利用されている。これは複対立遺伝子座 (S )により制御されており、花粉と雌しべの遺伝子型(キャベツでは50種類にも上る)が一致したときに不和合性反応が引き起こされる。S 遺伝子座にはSLG (S 糖蛋白質遺伝子)とSRK (S レセプターキナーゼ遺伝子)という柱頭で発現する極めて多型的な遺伝子が存在する。SRK細胞外ドメインはSLG に高い相同性を示し、協調して柱頭での認識に中心的な役割を果たすものと考えられてきた。
成果の内容・特徴
  1. Brassica rapa(カブ等)の SLG8とSLG46およびB. oleracea(キャベツ等)のSLG23 とSLG29はそれぞれアミノ酸配列レベルで97.5%(図1A)、99.3%(図2A)と極めて類似しており、認識特異性に重要と考えられる超可変領域は完全に一致していた。一方、B. rapa のSRK8とSRK46は85.6%(図1B)、B. oleracea のSRK23とSRK29は87.9%(図2B)とかなり異なっており、その超可変領域もいくつものアミノ酸置換を含んでいた。
  2. 異なるS 遺伝子型の自家不和合性認識タンパク質は異なるアミノ酸配列を持つと考えられるが、これらの極めて類似性の高いSLGの存在はSLGが自家不和合性の認識に関与していることに矛盾する。
  3. B. oleraceaのS24遺伝子型では、ウエスタン分析でSLGタンパク質が検出できない。サザン分析では、いくつかの制限酵素を用いてもSRKものと考えられるバンドが一本のみ検出される。この結果はS24遺伝子型ではSLG が欠失している可能性が考えられる。
  4. 以上を総合すると、アブラナ科自家不和合性ではSLGは自家不和合性認識には重要ではなく、SRKが柱頭における認識に中心的な役割を果たすものと考えられる。
成果の活用面・留意点 アブラナ科自家不和合性の柱頭側での認識にはSRKのみで十分である可能性が示された。したがって、SRK 遺伝子のみの導入で新しい自家不和合性認識特異性を付与した形質転換植物を作出できる可能性がある。
図表1 226230-1.gif
図表2 226230-2.gif
カテゴリ あぶらな かぶ キャベツ

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