| タイトル |
原核および真核微生物に有効な広域抗菌スペクトルをもつASABF型抗菌ペプチドの発見 |
| 担当機関 |
(独)農業生物資源研究所 |
| 研究期間 |
2001~2003 |
| 研究担当者 |
加藤祐輔
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| 発行年度 |
2001 |
| 要約 |
一群の新規のCSαβ型抗菌ペプチドを線虫類から分離し、ASABF型抗菌ペプチドと命名した。そのうち、2つ(ASABF-αおよびABF-2)を組み換えペプチドとして調製し、抗菌活性を調べた結果、グラム陽性および陰性細菌、および酵母にいたる広い抗菌スペクトルを示すことが明らかになった。特に、食中毒や感染症をひきおこす黄色ブドウ球菌に特効があることから、新しい抗菌剤として有望である。
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| キーワード |
抗生物質、生得免疫、寄生虫、食品添加物、C. elegans
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| 背景・ねらい |
抗菌ペプチドは、種々の微生物や動植物に見いだされ、新しい抗菌剤として治療薬や食品添加物として有望視されており、近い将来に実用化される見込みがある。筆者らの研究グループでは、線虫を材料として免疫と成長・形態形成との関連を研究する過程で、新しい構造をもつCSαβ型抗菌ペプチドを発見した。
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| 成果の内容・特徴 |
豚の腸管寄生性線虫であるAscaris suumの体液から、抗菌ペプチドを分離し、ASABF(Ascaris Suum AntiBacterial Factor)と名付けた。現在までに、A. suumの他、3種の寄生性線虫と、モデル生物である土壌自活性線虫C. elegansから、合計16のASABF型抗菌ペプチドを同定した。 これらのASABF型抗菌ペプチドのうち、ASABF-α(A. suum由来)およびABF-2(C. elegans由来)の組換え体を酵母による発現系で調製し、詳細に抗菌活性を調べた。その結果、両者とも、原核微生物であるグラム陽性および陰性細菌のみでなく、真核微生物の酵母にまでおよぶ広い抗菌スペクトルを示すことが明らかになった(表1)。特に、黄色ブドウ球菌に対して特効があり、約10nMの濃度で1分以内に殺菌した。一方、ヒト赤血球に対する毒性はほとんど認められなかった。 ASABF-αの高次構造は、1H-NMRにより明らかにされた。1つのαヘリックスと1対の逆平行βシートが相互に分子内ジスルフィド結合で安定化されている、CSαβ構造を有していることが見いだされた(図1)。 Cys残基の位置、分子内ジスルフィド結合を形成するCys残基の組み合わせ、および分泌シグナル、前駆領域、および成熟領域の配置が、他のCSαβ型抗菌ペプチドとは異なり、構造上、新しいサブグループに分類されるべきことが明らかになった。
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| 成果の活用面・留意点 |
- 応用上、抗黄色ブドウ球菌剤として最も有望であることから、今後、構造-活性相関や、安定性、体内動態などについて、さらに詳しく調査する必要がある。
- 一方、C. elegansをモデルとして微生物の病原性因子や宿主の感受性/抵抗性因子を同定しようとする研究も、近年、注目されている。ASABF型抗菌ペプチドに関連する、線虫の生得免疫機構も解明したい。
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| カテゴリ |
抵抗性
豚
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