イネセントロメアの塩基配列を解明

タイトル イネセントロメアの塩基配列を解明
担当機関 社団法人
研究期間 2001~2005
研究担当者 呉健忠
松本隆
水野浩志
片寄裕一
発行年度 2003
要約 イネ第8染色体のセントロメア領域を含む約200万塩基の配列を初めて完全解読した。この領域は他の染色体領域とは異なり、特異な繰り返し配列およびトランスポゾン配列に富み、予想に反して機能している遺伝子を含んでいた。
キーワード イネゲノム、セントロメア、トランスポゾン
背景・ねらい セントロメアは染色体の分配や安定維持に重要な領域である。高等生物においては同領域を大腸菌等に安定にクローン化することが難しく、また複雑な繰り返し配列が多いため、酵母以外では完全な塩基配列は解明されていなかった。本研究ではイネゲノム全塩基配列解読プロジェクトの一環として、イネ第8染色体セントロメア全領域の塩基配列解読を行った。
成果の内容・特徴
  1. 約3,100万塩基対からなるイネ第8染色体のうち、遺伝的にセントロメアと認定された遺伝距離54.3cM-55.4cM付近(図1)に18個の10-20万塩基からなるPAC/BAC断片を整列化し、その塩基配列をショットガン法によって全て解読することに成功した。セントロメア領域全体の正確な構造を明らかにしたのは高等植物では初めてである。
  2. 本領域は全部で197万2,546個の塩基で構成され、155塩基からなるイネ特異的な繰り返し配列(CentO、図2)がそれぞれ223回、50回、169回繰り返し直列に並んだ構造が特徴である。また、その中心にRIREと呼ばれる転移因子(トランスポゾン)が40個存在した。
  3. 解析領域には201個のタンパク遺伝子が発見され、ほとんどは機能が不明であったが、48個は既知のタンパク質のアミノ酸配列または生物研から公開しているイネ完全長cDNA配列(http://cdna01.dna.affrc.go.jp/cDNA/参照)に類似しており、従来の予想とは異なり、セントロメアにも遺伝子は存在し、一部は機能する可能性がある。
  4. セントロメア領域を含め、第8染色体の89%にあたる2,720万塩基対をすでに解読しており、平成16年内には全ゲノムの配列解読が完成する見込みである。

図1

図2
成果の活用面・留意点
  1. 200万塩基からなる複雑な配列を完成させる高度な技術は多様な生物種のゲノム解析に応用できる。
  2. この領域に含まれる繰り返し配列や遺伝子の細胞内での機能を明らかにすることにより、セントロメア全体の機能の理解が深まることが期待される。
図表1 226375-1.jpg
図表2 226375-2.jpg
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