ホーネットシルクの精製と成型法

タイトル ホーネットシルクの精製と成型法
担当機関 (独)農業生物資源研究所
研究期間 2003~2006
研究担当者 亀田恒徳
宮澤光博
発行年度 2004
要約 スズメバチの巣の内部に存在する繭(ホーネットシルク)を昆虫由来新素材候補として検討するため、繭タンパク質を抽出精製し、粉末状の精製ホーネットシルクを得た。さらにこの粉末状の精製ホーネットシルクがハロゲン化有機溶媒に可溶であることを見出し、フィルム、スポンジ、繊維などの形状に成型する方法を確立した。
キーワード ホーネットシルク、昆虫新素材、精製法の確立、成型法の確立
背景・ねらい スズメバチ類は、幼虫から蛹になる過程でタンパク質の糸を吐いて繭(ホーネットシルク)を作るが、このホーネットシルクを有用生体素材として利用しようとする試みは未だなかった。本研究では、ホーネットシルクの昆虫生体高分子由来の新素材としての有用性を検討するため、キイロスズメバチの巣からホーネットシルクを抽出・精製し、素材として利用できる形状に成型する方法の確立を試みた。
成果の内容・特徴
  1. ホーネットシルクは25℃に調製したLiBr水溶液(7.2mol/l 以上の濃度)中で攪拌すると、15分程度で溶解することがわかった(図1)。また、この塩溶液に15分以内で溶解した時には、分子鎖の切断は起こらず、LiBr水溶液がホーネットシルクの溶媒として有効であった。
  2. ホーネットシルクは、LiBr水溶液に可溶であるが、木くず等の植物繊維でできている巣盤は不溶であった。このような溶解性の違いを利用して、ホーネットシルクのみを高収率で抽出し、粉末状の精製ホーネットシルクを得る技術を確立した(図2)。
  3. 粉末状の精製ホーネットシルクはヘキサフルオロ-イソ-プロパノール(HFIP)、トリフルオロ酢酸(TFA)、ジクロロ酢酸(DCA)等のハロゲン化有機溶媒に可溶であったが、唯一、HFIPではほとんど分子鎖切断が起こりにくいことが分かり、HFIPがホーネットシルクの溶媒として有効であることを明らかにした。
  4. HFIP溶液とした精製ホーネットシルクからフィルム、および繊維(モノフィラメント)に加工する技術を開発した。また、ホーネットシルクの水中における自己凝集性を利用してスポンジ状多孔質体の作出に成功した(図3)。

図1

図2

図3
成果の活用面・留意点 ホーネットシルクはアミノ酸組成、高次構造などにおいて、カイコ絹フィブロインやセリシンおよびスパイダーシルクとは異なる可能性があり、新たな機能も有していると推察される。今後は、生体医療用向け素材としての利用を見据えた細胞との親和性試験、熱や光に対する電気応答性などホーネットシルク特有の機能性について調査する。
図表1 226395-1.jpg
図表2 226395-2.jpg
図表3 226395-3.jpg
カテゴリ カイコ 加工 機能性

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