タイトル |
アズキ連鎖地図の構築 |
担当機関 |
(独)農業生物資源研究所 |
研究期間 |
2001~2005 |
研究担当者 |
加賀秋人
伊勢村武久
Han Oku Kyu
王新望
小西左江子
安藤露
ダンカンヴォーン
友岡憲彦
|
発行年度 |
2005 |
要約 |
アズキから単離した292種類のSSRマーカーが含まれる合計896個の分子マーカーからなるアズキ連鎖地図を構築した。連鎖地図はアズキの基本染色体数に収束し、アズキ亜属のゲノム情報のスタンダードとして利用することができる。
|
キーワード |
DNAマーカー、マイクロサテライトマーカー、ゲノムマップ、マメ科作物
|
背景・ねらい |
ササゲ属アズキ亜属は21種からなり、アズキをはじめとするアジア起源の主要マメ科作物や多様な作物近縁野生種が含まれている。しかし、作物育種や作物近縁野生種における遺伝解析に利用可能な分子マーカーは限られており、ゲノム情報の基礎となるような基本染色体数に収束した連鎖地図も作成されていなかった。そこで、様々な生物種で分子マーカーとしてよく利用されているSSR(マイクロサテライト)マーカーを開発し、アズキ亜属のスタンダードとなるような連鎖地図をアズキで構築し、今後の研究の知的基盤にすることを目的とした。
|
成果の内容・特徴 |
- SSR配列を高頻度で含むような濃縮ゲノムライブラリーをアズキで作製し、SSRの周辺塩基配列を取得し、401種類のSSR配列をマーカー化した。
- アズキを片親とした3種類の交雑組み合わせの雑種集団(総数592個体)を用いて、アズキで開発したSSRマーカー、AFLPマーカー、他のマメ科作物のRFLPマーカーによる連鎖地図を3種類作成したところ、各連鎖地図はアズキの基本染色体数(n=11)に収束した。
- 連鎖地図上のSSRマーカーの並びは3種類の連鎖地図間で高度に保存されていたので、共通のSSRマーカーをアンカーとして連鎖地図を結合し、全てのマーカーの位置情報を統合した連鎖地図を構築した(図)。これによってSSRマーカー、AFLPマーカー、他のマメ科作物のRFLPマーカーを含む合計896個の分子マーカーの分布が明らかとなった。
- 連鎖地図の全長は約854cMとなり、292種類のSSRマーカーが平均3.1cMおきに分布していた。
- 連鎖地図に座乗するSSRマーカーの約90%はアズキに近縁なアズキ亜属 Angulares 節の栽培種や近縁野生種で単一バンドのPCR増幅が可能で、これより遠縁の Ceratotropis 節や Aconitifoliae 節でも約70%のマーカーが増幅可能であった。
|
成果の活用面・留意点 |
- アズキ連鎖地図はアズキ亜属のゲノム情報のスタンダードとして利用することができる。
- SSRマーカーは極めて多型的な共優性マーカーであり、利用が簡便であるため、ジーンバンクコレクションの遺伝的多様性の評価や、アズキの育種現場や品種鑑定への普及が期待される。
- ゲノム解析の基盤ができたことから、アズキ亜属に含まれるアズキ以外の栽培種、属は異なるが近縁度が高いダイズ、インゲンマメとの比較ゲノムマップを作成する予定である。
|
カテゴリ |
あずき
育種
いんげんまめ
くこ
ささげ
大豆
DNAマーカー
品種
|