イネ染色体断片置換系統群の作出と穂形態形質の遺伝解析

タイトル イネ染色体断片置換系統群の作出と穂形態形質の遺伝解析
担当機関 (独)農業生物資源研究所
研究期間 2002~2006
研究担当者 安藤露(農林水産先端研)
山本敏央
清水武彦(農林水産先端研)
矢野昌裕
発行年度 2007
要約 日本型品種「ササニシキ」の遺伝的背景に多収性インド型品種「ハバタキ」の染色体断片を置換した系統群を作出し、一穂粒数などシンクサイズに関わる穂形態関連QTLを多数検出した。各QTLの効果は小さく、一穂粒数に対して独立かつ相加的に作用することが明らかとなった。
キーワード イネ、染色体断片置換系統群、シンクサイズ、穂形態、QTL、準同質遺伝子系統
背景・ねらい
イネのシンクサイズ増加に重要な穂形態形質に関する遺伝学的研究はQTL解析手法の発展に伴って数多く報告されている。しかしながら多収インド型品種と日本型品種の収量差の要因とされる穂長や粒数の差を完全に説明できているとは言い難い。本研究では、日本型品種「ササニシキ」の遺伝的背景にインド型品種「ハバタキ」の染色体断片を導入した染色体断片置換系統群(CSSLs)を作出するとともに、それらを用いて穂形態関連QTLの網羅的な検出を行った。さらに、検出されたQTLの集積によるシンクサイズ増大の可能性を検討した。
成果の内容・特徴 1.日本型品種「ササニシキ」を遺伝的背景として、多収性インド型品種「ハバタキ」の染色体断片を置換することでゲノムのほぼ全領域をカバーした39系統からなる染色体断片置換系統群(CSSLs)を作出した(図1)。
2.CSSLsを用いて5つの穂形態形質(一穂粒数、一次枝梗数、二次枝梗数、穂長および一次枝梗長)について、ハバタキの対立遺伝子がシンクサイズを増加させるQTLを21箇所および減少させるQTLを17箇所検出した(図1)。それらのQTLは2ヵ年を通じてほぼ共通に検出され、第11 染色体を除く全染色体に存在していた。
3.第1 染色体の二次枝梗数を増加させるQTL(qSBN1)と第6 染色体の一次枝梗数を増加させるQTL(qPBN6)について準同質遺伝子系統(QTL-NILs)およびそれらの集積系統を作出した(図2A)。2つのQTLは独立かつ相加的に働くことで一穂粒数を増加させることが明らかとなった(図2B)。
成果の活用面・留意点 1.作出したCSSLsは、出穂期や稈長の変異が小さい恒久的な実験系統群であり、収量性ばかりでなく他の形質の遺伝研究にも利用できる。
2.効果の大きなQTLは単独でもシンクサイズを増大させることができ、さらにはその集積による相加効果も確認できたことから、検出されたQTLのピラミディングがシンクサイズの改変に有効である。
3.CSSLsの種子は遺伝子型情報と合わせて農業生物資源研究所ゲノムリソースセンターより入手できる(http://www.rgrc.dna.affrc.go.jp/jp/)。
カテゴリ 多収性 品種

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