遺伝子組換えカイコを利用したネコインターフェロンの生産

タイトル 遺伝子組換えカイコを利用したネコインターフェロンの生産
担当機関 (独)農業生物資源研究所
研究期間 2007~2011
研究担当者 田村俊樹
米村真之
飯塚哲也
立松謙一郎
瀬筒秀樹
小林功
栗原宏征
山田勝成
発行年度 2007
要約 遺伝子組換えカイコを用いてタンパク質生産をより効率的にするため、フィブロインH鎖遺伝子を利用した発現ベクターを作成し。ネコインターフェロンの生産を試みた。このベクターはフィブロインH鎖遺伝子のN末とC末の配列の間に目的とするタンパク質をコードする塩基配列を挿入するという特徴を持ち、目的遺伝子をカイコに導入しところ、大量のタンパク質を生産できることが分かった。また、プロテアーゼの切断部位を利用することにより、活性の高いネコインターフェロンを調製できることが示された。
キーワード 遺伝子組換えカイコ、有用物質生産、絹糸腺、ネコインターフェロン
背景・ねらい 遺伝子組換えカイコを用いたタンパク質生産系には、これまで酵母のGAL4/UAS系やカイコの核多角体病ウイルスのIE1とその標的配列hr3を利用したもの、フィブロインL鎖遺伝子を用いた方法等が開発されている。しかしながら、タンパク質の生産量が最も多いフィブロインH鎖の遺伝子を利用して、活性のある組換えタンパク質を後部絹糸腺において作る方法についてはまだ十分研究が進んでいない。本研究では、フィブロインH鎖遺伝子を利用したベクターを作成し、このベクターを用いて、ネコインターフェロンの生産が可能かどうかを検討する。
成果の内容・特徴
  1. ネコインターフェロンをコードする塩基配列をフィブロインH鎖遺伝子に挿入したベクターを構築した(図1)。
  2. このベクターを利用してネコインターフェロン遺伝子を挿入した組換えカイコを作出した。
  3. 得られた遺伝子組換えカイコが作る繭を溶かし、SDS-PAGE及びウェスタンブロッティングによって発現量を調べた結果、大量のタンパク質が発現していることが分かった。
  4. しかしながら、インターフェロンとしての生理活性は低かった(図2)。
  5. そこで、ネコインターフェロンの前後にプロテアーゼによる切断される配列を挿入し、この配列を持つ遺伝子組換えカイコを作出した。このカイコが作る繭から精製したタンパク質をプロテアーゼで処理した結果、活性の高いネコインターフェロンが得られた(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. カイコの後部絹糸腺でも大量の組換えタンパク質の生産が可能であることが分かった。
  2. 組換えカイコで生産されるネコインターフェロンがフィブロインH鎖との融合型になるため、精製後プロテアーゼ処理を行う必要がある。この方法が適用できるタンパク質の種類は限られると考えられる。
図表1 226438-1.png
図表2 226438-2.png
カテゴリ カイコ

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