タイトル | ブタの椎骨数を決める遺伝子の同定 |
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担当機関 | (独)農業生物資源研究所 |
研究期間 | 2001~2007 |
研究担当者 |
粟田崇 上西博英 美川智 林武司 |
発行年度 | 2007 |
要約 | ブタの椎骨数に関与する量的形質遺伝子座(QTL)に位置する遺伝子が核内受容体Germ Cell Nuclear Factor (NR6A1)であることを明らかにした。NR6A1にはQTLタイプに対応するアミノ酸置換があり、コリプレッサーとの結合能を変化させた。また体節形成期のマウス胚において、椎骨のもととなる体節内でのNR6A1の発現が認められた。 |
キーワード | ブタ、椎骨数、QTL、核内受容体、NR6A1、SNP |
背景・ねらい |
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成果の内容・特徴 | 1.アジア系品種、西洋系品種およびミニブタを用いた複数のF2家系の連鎖解析により、椎骨数QTLが第1染色体および第7染色体に検出された。その効果はともにほぼ等しく対立遺伝子あたり約0.6個の椎骨数を増大させた。これらを合わせると平均で約2.4個の椎骨数が増大し、表型変動の約75%が説明された。 2.第1染色体のQTL領域において、椎骨数が増大したブタに特徴的な約300kbの領域を、マイクロサテライトマーカーを用いて検出した(図1)。この領域はイノシシやアジア在来豚など椎骨数の増大が見られない品種では多様性が保たれていた。この領域には核内受容体Germ Cell Nuclear Factor (NR6A1)の遺伝子が位置することを明らかとし、QTLタイプと一致するアミノ酸置換(Pro192Leu)を単離した(図2A)。 3.椎骨のもととなる体節が形成される時期でのNR6A1の発現を、マウス胚(10.5日)を用いて解析した。その結果、NR6A1は体節内部に発現していることが明らかとなった(図3)。 |
成果の活用面・留意点 | 1.ブタ第1染色体上のQTLタイプは、NR6A1のアミノ酸置換を引き起こすSNPによって、または椎骨数増大型のQTLにおいて固定されたマイクロサテライトマーカーによって判定することができる。特に西洋豚とアジア在来豚などを用いて造成される系統においては、このDNA情報が選抜育種に大きな効果を発揮する。 2.核内受容体NR6A1はリガンドが不明ないわゆるオーファン受容体でありその機能も未知な部分が多い。NR6A1が体節形成に関わるということは初の知見であり、NR6A1の機能解明への糸口となるとともに、体節形成に関わる研究においても新たな進展が期待される。 |
カテゴリ | 育種 繁殖性改善 品種 品種改良 豚 |