タイトル | 新規用途向け食用ひえ品種の育種素材となる低アミロース含有系統 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 作物研究所 |
研究期間 | 2002~2002 |
研究担当者 |
勝田 真澄 長谷川 聡(岩手県北農研) |
発行年度 | 2002 |
要約 | 岩手県で栽培されていたひえ在来系統は、アミロース含有量が低く、栽培地域・年度による変動が小さい。本系統のデンプンは、既存品種に比べて粘度が高く冷めても硬くなりにくい糊化特性を有しており、新規加工用途向けのひえ品種の育種素材として有望である。 |
キーワード | 低アミロース、デンプン、雑穀、食用ひえ、育種素材 |
背景・ねらい | ひえは、かつて冷涼な中山間地で広く栽培された主要雑穀であった。現在ではほとんど栽培されなくなったが、機能性食材として雑穀への関心が高まるにつれ、岩手県などでは水田で栽培できる雑穀として食用ひえの普及が始まった。しかし、ひえにおいて、あわやきびなどのような糯性系統は見出されていない。既存の食用ひえの系統はデンプンのアミロース含量が高く食味が不良で、健康食材として「雑穀」への注目が高まっている昨今でも、新たな加工品開発による消費拡大が困難であり、需要が限定されていた。 そこで、新たな加工食品の素材としてひえの需要拡大に貢献できる育種素材を見出すため、新規のデンプン特性を有した食用ひえの系統を探索した。 |
成果の内容・特徴 | 1. 岩手県岩泉町安家地区で栽培されている食用ひえの在来系統は、アミロース含量が低く、既存系統の約2分の1である。アミロース含量は、栽培地域や年度に関わらず安定しており、12%前後である。(表1)。 2. RVA(ラピッドビスコアナライザー)で本系統におけるデンプンの糊化特性を測定したところ、既存系統に比較して、最高粘度が高くブレークダウンが大きい粘度の高い性質を示した(図1)。 3. 冷却後の最終粘度およびセットバック値は小さく、低アミロースひえのデンプンは、冷めても硬くなりにくい性質を示した(図1)。 4. 本系統は、既存品種と同等の生育特性と収量性を有するが、既存の水田栽培向け系統に比べると、やや長稈である(表2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 本系統は、既存系統とは異なるデンプン糊化特性を有した食用ひえであり、新規加工品の開発に活用できる。 2. 本系統を育種素材として草型の改良を行うことにより、水田における栽培および収穫の機械化に適した新規形質食用ひえ系統の育成が可能である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | あわ 育種 加工 機械化 機能性 きび 需要拡大 消費拡大 水田 中山間地域 ひえ 品種 良食味 |