タイトル | イネ由来遺伝子による効率的な形質転換体選抜技術 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 作物研究所 |
研究期間 | 1999~2002 |
研究担当者 |
小松 晃 川岸万紀子 山田哲也 矢部尚登(東京大) 西澤洋子(生物研) 若狭 暁 |
発行年度 | 2003 |
要約 | フィードバック阻害をはずしたアントラニル酸合成酵素αサブユニット改変遺伝子(OASA1D )と、選抜薬剤として5-メチルトリプトファン(5MT)を用いることにより、広範な 植物種と多様な選抜培養法において効率的に形質転換体が作出できる。 |
キーワード | 選抜マーカー遺伝子、5-メチルトリプトファン(5MT)、イネ遺伝子、形質転換植物 |
背景・ねらい | 形質転換植物を作出するには、選抜マーカーによる選抜が不可欠である。形質転換体作出のための選抜マーカー遺伝子として、抗生物質耐性遺伝子や除草剤耐性遺伝子が現在のところ多く用いられている。イネ由来の改変遺伝子OASA1D が5MT抵抗性を示すことから、選抜マーカー遺伝子として利用できることを報告した。この遺伝子と選抜薬剤である5MTを用いた実用的な選抜技術を確立し、異なる遺伝子導入法や選抜培養法を使用する複数の植物種への適用を図る。この選抜技術の確立により、植物由来遺伝子による選抜が可能となるとともに、利用できるマーカー遺伝子の選択肢が広がり、複数の遺伝子の導入が容易になる。 |
成果の内容・特徴 | 1. CaMVの35SプロモーターにOASA1D 遺伝子をつないだカセット(35S-OASA1D)をアグロバクテリウム感染法でイネ「日本晴」カルスに導入し、5MTで選抜をすることにより、ハイグロマイシンによる選抜効率と同等かそれ以上の効率で形質転換体が得られる(表1)。 2. 上記の条件で選抜培養することにより、後代での遺伝的固定が容易な低コピーの形質転換体を効率よく作出できる(表2)。 3. 主にカルスで発現するイネキチナーゼプロモーター(PRO3)を用いても同様な選抜効率で形質転換体が得られる(表1)。 4. アグロバクテリウム感染した植物の種子から形質転換体を選抜するシロイヌナズナin planta 法においても、5MT選抜により形質転換体を容易に選抜できる(図1)。 5. バレイショの茎切片を用いたアグロバクテリウム感染法においても、5MTで選抜することにより既存のカナマイシンによる選抜効率と同等かそれ以上の効率で形質転換体が得られる(図2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 5MT選抜法は双子葉、単子葉植物に属する植物種において、またカルス、組織、種子を用いた選抜において利用できるため、広範な研究材料に適用できる。 2. OASA1D を導入するとトリプトファンが蓄積するが、35S-OASA1DまたはPRO3-OASA1Dを用いると発現量が少なくなり、イネにおけるこの問題を回避できる。 3. 35S-OASA1Dを用いることで低コピーのイネ形質転換体が高頻度で得られるため実用性が高い。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | 病害虫 除草剤 抵抗性 ばれいしょ 薬剤 |