QTL解析により同定されたダイズ耐冷性に関する遺伝子座

タイトル QTL解析により同定されたダイズ耐冷性に関する遺伝子座
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 北海道農業研究センター
研究期間 2002~2004
研究担当者 船附秀行
川口健太郎
松葉修一
佐藤 裕
石本政男
発行年度 2004
要約 ダイズ品種「ハヤヒカリ」に由来する耐冷性に関する遺伝子は、熟性遺伝子座の座乗する3つのゲノム領域近傍に存在し、すべてが「ハヤヒカリ」型になった場合、強い耐冷性を示す。
キーワード ダイズ、冷害、マーカー育種、耐冷性、早晩性、QTL解析
背景・ねらい 分子マーカーを用いたQTL解析は、イネにおいて耐冷性関連遺伝子座の特定に有効な手段であることが実証されているが、ダイズの耐冷性については、試みられたことがなかった。そこで、北海道で最も耐冷性の強い品種の一つである「ハヤヒカリ」と、北海道の基幹品種である「トヨムスメ」の交雑後代の組み換え型自殖系統(RIL)について、人工気象室における耐冷性検定とDNAマーカーによるジェノタイピングを行い、ダイズの子実重レベルでの耐冷性に関する遺伝子座を同定し、耐冷性育種の効率化に資することを目的とする。
成果の内容・特徴
  1. 開花日まで22℃/17℃、開花日以降成熟まで、低温区15℃/15℃、常温区24℃/17℃に置くことで、開花・成熟期の早晩性に関係なく、系統の持つ潜在的な生殖成長期の耐冷性を評価できる。
  2. 104のF6:7のRILsについて、179のSSRマーカーと2つの形態形質(T:毛茸色、W1:花色)、2つのSNPsによりジェノタイピングすると、23連鎖群からなる約1800cMの連鎖地図が構築される。
  3. 1の耐冷性検定法および2の連鎖地図を利用し、個体あたり種子重の耐冷性(常温区に対する低温区の割合)に関するQTL解析を行うと、2つのゲノム領域(連鎖群C2とL)で有意なQTLが検出される(図1)。
  4. 連鎖群C2に座乗するQTLは、個体あたり種子数の耐冷性と一粒重の耐冷性双方に関与し、連鎖群Lに座乗するQTLは個体あたり莢数(同時に種子数)の耐冷性に関与する(図1、表)。これらは、開花期・成熟期の早晩性を支配する熟性遺伝子座に近接する(図1)。
  5. 連鎖群Iに位置する熟性遺伝子座の近傍には、単独では耐冷性に関する有意なQTLは存在しないが、連鎖群Lの耐冷性遺伝子座と高い相互作用を示す領域があり、連鎖群C2の遺伝子座も併せて、3つの熟性遺伝子座すべての周辺領域が「ハヤヒカリ」型になった場合に、耐冷性が最も強くなる(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. ダイズ耐冷性品種育成のための交配親・選抜法選定の情報となる。
  2. RILおよび耐冷性QTL近接マーカーは、耐冷性育種素材の作出に利用できる。
  3. 圃場において、熟性遺伝子が「ハヤヒカリ」型のものは、「トヨムスメ」型のものより、若干熟期が晩生になる。
図表1 226548-1.gif
図表2 226548-2.gif
図表3 226548-3.gif
カテゴリ 育種 大豆 DNAマーカー 凍害 品種

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