新しく見出されたオオムギ縞萎縮ウイルス系統

タイトル 新しく見出されたオオムギ縞萎縮ウイルス系統
担当機関 栃木農試
研究期間 2004~2007
研究担当者 加藤常夫
夏秋知英(宇都宮大学)
河田尚之(九沖農研)
五月女敏範
西川尚志(宇都宮大学)
大関美香
長嶺敬(近中四農研)
渡邉浩久
発行年度 2008
要約 栃木県および山口県で見出したオオムギ縞萎縮ウイルス(BaYMV)系統は、既知の系統と病原性が異なるⅣ型およびⅤ型である。また、「スカイゴールデン」、「木石港3」、「中泉在来」は、Ⅰ~Ⅴ型のいずれにも抵抗性を示し、育種に有効である。
キーワード オオムギ、オオムギ縞萎縮ウイルス、抵抗性、病原性分化
背景・ねらい 二条大麦生産において、最も重大な病害はオオムギ縞萎縮病で、罹病すると著しく収量や品質が低下する。その病原ウイルス(オオムギ縞萎縮ウイルス;以下BaYMV)は系統分化が認められ、それぞれの系統に対して抵抗性となる品種の育成が重要である。 今回、栃木県および山口県において、現在の主要BaYMV抵抗性遺伝子rym3を持つ品種の罹病が確認され、それらの同定と抵抗性母本の検索を行った。
成果の内容・特徴
  1. 栃木県大田原市(以下大田原)および山口県山口市(以下山口)のBaYMV系統は、大麦品種の抵抗性反応の結果、既知のBaYMVⅠ~Ⅲ型と異なる新しい系統である(表1)。
  2. 大田原系統は、ウイルスゲノムの塩基およびアミノ酸配列の相同性検索の結果、外被蛋白質(以下CP)は山口ほ場で採取されたⅣ型(岡田ら2006)と100%一致し(データ省略)、既知のⅠ~Ⅲ型と一致しなかった(表2)。このことから、大田原系統はⅣ型である。
  3. 山口系統は、ウイルスゲノムの塩基およびアミノ酸配列の相同性検索の結果、Ⅰ~Ⅳ型と一致せず(表2)、アミノ酸配列を基に系統樹の類縁関係からも分化性が明らかとなり(図1)、新型のⅤ型である。なお、山口ほ場内でBaYMVに罹病しているrym3を持つ品種や判別品種より採取したBaYMVは全てⅤ型のみでⅣ型は検出されなかった(データ省略)。
  4. Ⅳ型とⅤ型の判別は、「早木曽2号」または「浦項皮麦3」と「三月」を判別品種として用いることにより、可能である(表1)。
  5. 「スカイゴールデン」、「木石港3」、「中泉在来」は、Ⅰ~Ⅴ型のいずれにも抵抗性を示し、BaYMV抵抗性母本として有効である(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. オオムギ縞萎縮病抵抗性育種および抵抗性遺伝子の判別・選抜に利用できる。
  2. 大麦育種において、スカイゴールデンや木石港3と同様に抵抗性遺伝子を集積させることがオオムギ縞萎縮病抵抗性育種に有効である。
図表1 226670-1.jpg
図表2 226670-2.jpg
図表3 226670-3.jpg
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カテゴリ 育種 萎縮病 大麦 抵抗性 抵抗性遺伝子 品種

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