タイトル | 肉牛のクローン技術による産肉能力検定法 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 畜産草地研究所 |
研究期間 | 2000~2001 |
研究担当者 |
古川力 佐々木修 石井和雄 武田尚人 |
発行年度 | 2001 |
要約 | 肉牛の改良において、後代検定の代わりに受精卵クローンあるいは体細胞クローンを用いた検定を行うことにより、年あたり遺伝的改良量が増加するとともに検定に要するコストが減少して、育種の効率化が可能となる。 |
キーワード | 受精卵クローン、体細胞クローン、肉用牛、改良効率、育種繁殖 |
背景・ねらい | 畜産においては国際競争や消費の多様化に対して、育種による迅速な対応が求められている。しかし、肉牛では後代検定による雄の選抜が改良の中心であるため、育種には長い年月が必要である。 近年、受精卵によるクローン個体とともに体細胞によるクローン個体の作出が可能となった。クローン技術では遺伝的に均質な個体を複数作出することが可能であるため、これを育種的に利用することにより改良効率がさらに改善されると期待される。 そこで、肉牛についてクローン技術を用いた産肉能力検定法を開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 受精卵クローン検定は生産された2頭以上のクローンから、1頭を候補牛に他を調査牛とする。 2. 体細胞クローンを利用する検定方法で、成牛クローン検定は候補牛をすべて肥育して産肉能力の高い個体の体細胞クローンを種雄牛とする。 3. 幼牛クローン検定は、候補牛が生産されたときにその体細胞クローンを作出し検定にかける。 4. これら検定方法の流れと世代間隔は図1のとおりである。また、それぞれの検定方法を、候補牛作出と検定を同じ場所で行うステーション方式、フィールド方式と、ステーションで作出した候補牛をフィールドで検定する中核育種方式で比較した。 5. 受精卵クローン検定と幼牛クローン検定では後代検定に比べて世代間隔が短縮される。 6. 年あたりの遺伝的改良量では、クローン検定は後代検定よりも改良量が大きく、受精卵クローン検定の効率が最も高い(図2)。 7. 一定の遺伝的改良量を得るのに必要な検定コストでは、ステーション方式とフィールド検定では後代検定に比べて受精卵クローン検定のコストが低く、中核育種方式では体細胞クローン検定のコストが低い。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 受精卵クローンは直接検定に代わる検定方法として利用するのがよい。 2. クローン検定は先進的農家が若雄牛を選定するための補助情報として利用するのがよい。 3. 候補種雄牛作出に要するコストは含まれていない。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
カテゴリ | 育種 コスト 肉牛 繁殖性改善 |