タイトル | バクテリオシンを生産する乳酸菌ライブラリーの構築 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 畜産草地研究所 |
研究期間 | 1999~2001 |
研究担当者 |
岡本隆史 野村将 木元広実 小林美穂 |
発行年度 | 2001 |
要約 | 植物性の材料を主とした257検体の試料から2,359株の乳酸菌を分離し、新規バクテリオシン生産菌を検索し、14株からなるバクテリオシン生産性乳酸菌のライブラリーを構築したので公開する。 |
キーワード | 加工利用・乳用牛・乳酸菌、バクテリオシン |
背景・ねらい | 乳酸菌が生産するバクテリオシンの多くは耐熱性を有し、酸性域で安定であるなど食品加工上都合のよい性質を持つほか、タンパク分解酵素で分解・失活するものが多く、安全性が高いと考えられている。しかしバクテリオシンは、バクテリオシンのタイプごとに抗菌スペクトル、作用機序、活性化pH域などを異にするため、目的とする有害細菌や腐敗細菌ごとに効果的に作用するバクテリオシンを確保することが実用上重要となる。 今回、植物性の材料(漬け物、発酵茶、サイレージなど)を主な分離源として新規のバクテリオシンを生産する乳酸菌を検索し、バクテリオシン生産性乳酸菌ライブラリーを構築した。 |
成果の内容・特徴 | 1. 植物性の材料を中心とした257点の試料から2,359株の乳酸菌を分離した。 2. 2,359株の分離菌株は、Lactococcus lactis subsp. lactis NIAI527など4株の乳酸菌を検定菌として抗菌活性をスクリーニングし、14株の抗菌物質生産性乳酸菌を得ることができ、抗菌物質生産菌ライブラリーを作成することができた。 3. これら14種の抗菌物質は、いずれも耐熱性(100℃、20分)があるほか、タンパク分解酵素(トリプシン、プロナーゼ)の感受性を示すなどの特徴を有することから、バクテリオシンと考えられる。 4. 14種のバクテリオシン生産菌については、14種類の細菌に対する抗菌活性を検定し詳細な抗菌スペクトルを作成した(表1)。通常のバクテリオシンと同じように今回得られたバクテリオシンの多くは、限られた細菌に対してのみ抗菌活性を有し抗菌スペクトルの幅は狭かったが、3種類のバクテリオシンは広い抗菌スペクトルを有していた。 5. 16SrRNAの塩基配列情報から菌株同定したところ、表2のように同定された。 |
成果の活用面・留意点 | 1. ライブラリーの菌株は、バクテリオシンを生産する乳酸菌として提供することが可能である。 2. 微生物などを利用した安全な食品保存法(バイオプリザベーション)での利用が可能と考えられる。 3. 高い安全性を保証するために、バクテリオシンの構造を明らかにする必要がある。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
カテゴリ | 加工 茶 |