| タイトル | アニオンチャンネル遺伝子AtCLC-cはシロイヌナズナの硝酸塩蓄積を促進する |
|---|---|
| 担当機関 | (独)農業技術研究機構 畜産草地研究所 |
| 研究期間 | 2001~2002 |
| 研究担当者 |
原田久富美 Leigh R.A.(ケンブリッジ大) 黒森崇(理研) 平山隆志(理研) 篠崎一雄(理研) 川地太兵 須永義人 畠中哲哉 |
| 発行年度 | 2002 |
| 要約 | AtCLC-c遺伝子にトランスポゾンが挿入されることにより、AtCLC-c遺伝子の発現が抑制されたシロイヌナズナ突然変異体は、野生型よりも約20%低い硝酸塩蓄積を示す。このことから、AtCLC-c遺伝子は硝酸塩蓄積の促進に関与している。 |
| キーワード | アニオンチャンネル、シロイヌナズナ、CLC遺伝子、QTL解析、土壌肥料 |
| 背景・ねらい | 作物中の硝酸塩は、反すう家畜や乳児のメトヘモグロビン血症の原因である。さらには、ニトロソアミンの生成と関係して胃ガンとの関係も指摘されている。一方、家畜ふん尿の余剰や作物の安定生育を背景として、窒素が多施用されて作物中に硝酸塩が高濃度で蓄積されることも多い。そこで現在、遺伝的変異を利用した硝酸塩蓄積の低減技術に基づき、硝酸塩を蓄積しにくい品種の開発が課題となっている。本研究では、モデル植物を用いて硝酸塩蓄積に関係する遺伝子を同定し、作物改良のための標的遺伝子について検討する。 |
| 成果の内容・特徴 | 1. シロイヌナズナ組換近交系について、温室内で培養液をかん水しながらロックウール上で約2週間生育させた後、地上部硝酸塩濃度についてQTL解析を行うと、第5染色体上に主働遺伝子が見いだされる(図1)。ゲノムシークエンスのデータベースを用い、第5染色体上の主働遺伝子に対して遺伝子座が矛盾しない陰イオン輸送に関係する遺伝子を検索すると、生理的意義が未だ明確でないアニオンチャンネルAtCLC-c遺伝子が主働遺伝子の候補遺伝子として考えられる。 2. 硝酸塩蓄積に関わるAtCLC-c遺伝子の役割を明らかにするため、AtCLC-c遺伝子の機能が欠損する突然変異体を検索したところ、理化学研究所が所有するタギングラインからAtCLC-c遺伝子のGly17とGly18間にDSトランスポゾンが挿入された突然変異体系統が見いだされる(図2)。 3. 逆転写-定量的PCRによりAtCLC-c mRNAの発現量を解析したところ、トランスポゾンの挿入により突然変異体系統のAtCLC-c遺伝子の発現量が、野生型に比べて、地上部で5%、地下部で0.4%と大きく減少しており、突然変異体系統ではAtCLC-c遺伝子の機能が抑制されている(図3)。 4. 培地中の硝酸塩濃度を変えて生育させたシロイヌナズナにおける地上部硝酸塩濃度を調べると、突然変異体系統の硝酸塩濃度は野生型に比べ平均で14μモル/g新鮮物程度低い(図4)。 また、根部の硝酸塩濃度についても突然変異体系統では低く、一方、生育・硝酸塩吸収量・塩素イオン濃度には突然変異体と野生型では有意な違いが認められない。 以上のことから、シロイヌナズナAtCLC-c遺伝子は硝酸塩濃度の蓄積に関係しており、この遺伝子を抑制することにより硝酸塩濃度を低下させることができる。 |
| 成果の活用面・留意点 | 硝酸塩濃度が問題となっている作物について、CLC遺伝子の機能を解明、改変することで、硝酸塩を蓄積しにくい系統の開発に応用できる。 |
| 図表1 | ![]() |
| 図表2 | ![]() |
| 図表3 | ![]() |
| 図表4 | ![]() |
| カテゴリ | 肥料 データベース 土壌管理技術 品種 輸送 |
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