SSRマーカーによるギニアグラスの品種識別と系統間の類縁関係

タイトル SSRマーカーによるギニアグラスの品種識別と系統間の類縁関係
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2003~2005
研究担当者 高原 学
小林 真
霍田真一(宮崎大)
蝦名真澄(沖縄畜試)
幸喜香織(沖縄畜試)
稲福政史
奥村健治(北農研)
中川仁(生物研)
発行年度 2005
要約  ギニアグラス品種「ナツカゼ」から開発した13個のSSRマーカーは、ギニアグラス品種・遺伝資源の識別に利用できる。またこれらのマーカーによる系統の類縁解析から、ギニアグラスおよび近縁種の96品種・系統は7つの群に分類され、既存品種の多くは同一群に属する。
キーワード SSRマーカー、飼料作物育種、ギニアグラス、イネ科牧草、品種識別
背景・ねらい  暖地型牧草ギニアグラスはアポミクシスの生殖様式が主流で、わが国で利用できる有性生殖系統が限られているため交配育種がまだ十分には進んでいない。効果的な育種の推進に向けて、遺伝資源の遺伝的多様性を明らかにすることは重要である。また育成した品種の保護の観点から、品種の区別性・均一性を迅速・簡便に検証する品種識別技術が必要である。そこで、ゲノム中に散在する単純反復配列(Simple Sequence Repeat: SSR)を利用したDNAマーカーをギニアグラスで開発して、これを用いた品種識別技術を構築し、さらにギニアグラス遺伝資源の系統関係を明らかにする。
成果の内容・特徴 1.
ギニアグラス品種「ナツカゼ」由来の反復配列濃縮ゲノムライブラリーおよびcDNA配列情報をもとに開発した13個のSSRマーカーを用いて、ほとんどの品種・系統において1∼4本の明瞭なバンドを検出できる(図1)。
2.
開発した13個のSSRマーカーの詳細を表1に示す。これらのマーカーは平均アリル数が14.9、平均遺伝子型数が33と多型性に富み、バンドパターンの組合せによって幅広い遺伝的背景を持つ96品種・系統を識別できる。
3.
これらのマーカーを用いて行った品種・遺伝資源の系統解析では、96の品種・系統は7つの群に分類され、既存の品種の多くは同一群(VII)に分類される(図2)。
成果の活用面・留意点 1.
信頼性が高く客観的なSSRマーカーがギニアグラスの品種識別に利用できる。
2.
今回用いたギニアグラスの品種・遺伝資源(近縁種を除く)の生殖様式は全てアポミクシスである。
3.
ギニアグラス遺伝資源は遺伝的多様性の高い育種材料であることが示唆された。今後の育種において、異なる群に属する遺伝資源を利用することで幅広い変異をより確実に導入でき、効率的な育種が進むと期待される。
4.
今回標的とした反復配列の濃縮効率が悪く、得られたSSRマーカーの数は少なかった。今後さらに多数のSSRマーカーを開発するためには、標的配列を変えることでSSR領域の濃縮効率を改善する必要がある。
図表1 227102-1.jpg
図表2 227102-2.gif
図表3 227102-3.gif
カテゴリ 育種 遺伝資源 飼料作物 DNAマーカー 品種

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