タイトル |
本州中低標高地帯における夏作後の冬季放牧利用に適した草種 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所 |
研究期間 |
2006~2010 |
研究担当者 |
山本嘉人
北川美弥
西田智子
平野 清
的場和弘
栂村恭子
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発行年度 |
2007 |
要約 |
本州中低標高地帯において夏作後の飼料畑等の冬季放牧利用に適した草種は、立毛備蓄量、利用率および再生量からライムギ、イタリアンライグラスの順で有望である。
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キーワード |
イタリアンライグラス、再生量、冬季放牧、備蓄量、ライムギ、利用率
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背景・ねらい |
本州中低標高地域のやや温暖(年平均気温12-14℃程度)な地帯において、夏季にトウモロコシ等の飼料生産がなされた圃場等では、冬季は休耕していることが多い。これら夏作後の飼料畑等に冬季放牧用の牧草地を造成し、夏季放牧草地と組み合わせた周年放牧体系が確立できれば、自給飼料基盤の周年活用により粗飼料自給率の向上につながる。 夏作後の飼料畑等を冬季放牧草地として活用するために、比較的冬季の生育に優れる越年生3草種の中から冬季放牧に適した草種を選定する。
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成果の内容・特徴 |
- 北関東の圃場にてイタリアンライグラス(IR:シワスアオバ3kg/10a)、エンバク(たちいぶき5kg/10a)、ライムギ(春一番5kg/10a)の単播草地を9月下旬頃に播種造成し、12月から翌年3月の各月に成牛を放牧する(図1)。
- 冬季放牧時の放牧前の備蓄量(立毛備蓄)はいずれの草種も1月に高くなり、その後冬枯れによって低下する(図2)。IR草地とライムギ草地では250gDM/m2とを越えるが、エンバク草地は他の2草種に比べやや低い傾向が見られ、とくに3月の備蓄量の低下が著しい。いずれの草地も3月には雑草の比率がやや増加し、ライムギ草地はライムギ備蓄量が再度増加に転じる(図2)。
- 12月から3月の4ヶ月間の平均備蓄量は、IR草地239gDM/m2、ライムギ草地232gDM/m2、エンバク草地193gDM/m2、また平均利用率は、ライムギ草地86%、IR草地84%、エンバク草地61%である。
- 冬季放牧後のIR草地の再生は小さく4月になってやや上昇し始める(図3)。エンバク草地では再生は見られず放牧後も草量は低下し続ける。ライムギ草地は最も早い時期(3月)から再生に転じ、とくに12月や1月放牧区では12月時点で放牧前の備蓄量に匹敵する程に現存量が回復する(図3、図4)。
- 以上のことから、夏作後の冬季放牧用草種としてライムギ、IRの順で有望である。
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成果の活用面・留意点 |
- 本州中低標高地域(関東北部等の年平均気温12~14℃程度)において、冬季休耕地を放牧草地として活用する際の播種牧草種選定に役立つ。
- 降雪量が多い地域では、冬季放牧草地として活用するのは困難である。
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図表1 |
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カテゴリ |
病害虫
イタリアンライグラス
雑草
とうもろこし
播種
ライ麦
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