カイコ体液に反応して形態変化するカイコ胚由来培養細胞株

タイトル カイコ体液に反応して形態変化するカイコ胚由来培養細胞株
担当機関 蚕糸・昆虫農業技術研究所
研究期間 1999~2003
研究担当者
発行年度 1999
要約 蚕品種「五眠白」の胚の頭部断片から連続継代性培養細胞株(NISES-BoMo-BEN5と命名)を作出した。この培養細胞株は培地に添加したカイコ体液に反応して球形から網目状に形態変異をすることから、細胞の形を指標にした薬物等の検定系として利用が期待できる。
背景・ねらい 双翅目昆虫ショウジョウバエ由来の培養細胞株は分子遺伝学的研究等に広く利用されている。一方、鱗翅目昆虫の培養細胞株はその多くがカイコ由来であり、主に病理学的研究面で利用されている。今後単純化した実験系としてカイコ培養細胞系の利用を推進するためには、病理学以外の分野でも利用可能な培養細胞系の樹立が必要である。
成果の内容・特徴
    1.カイコ品種「五眠白」の器官形成期の胚の断片化した頭部組織を培養して、グリア細胞状の形態を示すカイコの連続継代性培養細胞株(NISES-BoMo-BEN5)を樹立した。BEN5培養細胞株はEXCELL400培地(血清無添加)+10%牛胎児血清+3%カイコ体液(5齢3日目)の継代用培地で通常培養されている。細胞は付着性であり、培養開始後球型細胞が線維を伸長して緊密な網目構造を形成し、その後活発な増殖がみられる(図1-A)。
    2.上記の性状は培地の組成により変化する。即ち、BEN5培養細胞株はEXCELL400培地+10%牛胎児血清で培養すると細胞の線維形成は低下し、形状は、多くの細胞が球形のままで複雑な網目構造を作らない(図1-B)。また、EXCELL400培地+10%体液で培養すると線維の伸長は顕著であるが、細胞の増殖はみられない(図1-C)。本培養細胞株は継代用培地から無血清EXCELL400培地に移しても培養はできる。
    3.BEN5培養細胞株は上記のように形態変異を起こすことから、変異を指標に生理活性物質や薬物等の検定系として利用が期待できる。また、線維の網目構造の形状はグリア細胞に酷似しており、今後確認の上、神経系培養細胞株として農薬等の検定系としても利用が望める。
成果の活用面・留意点 本培養細胞株は蚕糸・昆虫農業技術研究所の細胞バンクに登録し、分譲申請者には所の規定に従って配布する。

図表1 227378-1.gif
カテゴリ 病害虫 カイコ 農薬 品種

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