タイトル |
加熱調理用トマトの新品種候補 'にたきこま' |
担当機関 |
野菜・茶業試験場 |
研究期間 |
1989~1999 |
研究担当者 |
石井孝典
藤野雅丈
佐藤百合香
由比 進
石内傳治
矢ノ口幸夫
伊藤喜三男
沖村 誠
内海敏子
|
発行年度 |
1999 |
要約 |
近年、トマトを加熱調理に用いる場面が増えているが、国内栽培に適した加熱調理適性の高い品種はほとんどない。‘にたきこま’は、加熱調理適性が優れ栽培の容易なクッキングトマト用新品種である。
|
キーワード |
にたきこま、加熱調理適性、クッキングトマト用新品種野菜
|
背景・ねらい |
近年、トマトの加熱調理が人気を集めており、入手の容易な生食用トマトあるいは缶詰トマトが多く利用されている。しかしながら、生食用トマトは水分が多く煮崩れしやすい、缶詰トマトは香りが不十分である等の欠点を持ち、いずれの加熱調理適性も満足できるものではない。そこで、国内で生産可能な加熱調理向きのいわゆるクッキングトマト用品種を育成しようとした。
|
成果の内容・特徴 |
- 育成経過:1989(平成元)年より、トマトの高品質・省力適性素材の選定とF1組み合わせ能力検定を実施した。その結果、フランスからの導入品種間のF1が優秀な成績を示し、‘盛岡交28号’の系統名を付した。1993(平成5)年以降、特性検定試験・系統適応性検定試験等を実施した結果、収量・果実形質・加熱調理適性・病害抵抗性等に優れることが評価されたため、命名登録を行った。
- ‘にたきこま’の加熱調理適性について、多汁性の指標となる落下液量は生食用品種‘桃太郎’の約1/2であり、炒め物等の加熱調理時に 問題になる水の浸出が非常に少ない。また、加熱濃縮したトマトソースの粘度が‘桃太郎’の3倍程度と高いため、パスタ料理では麺によくからむ。さらに‘桃 太郎’や近年加熱調理に用いられている‘なつのこま’のトマトソースと比較して色調が優れ、酸度が高いため濃厚な味となる (表1) 。
- ‘こたきこま’を各種調理に用いた場合の官能評価は、‘桃太郎、なつのこま’と同等以上で、特にトマトソースの評価が高い (表2) 。
- 果実は60~70g程度の卵形で、消費者にとって生食用品種との識別が容易である。また、果実が堅く完熟で収穫しても輸送性・貯蔵性が高く、棚持ちが良い (表3) 。
- 加熱調理用に栽培されている主要品種‘なつのこま’より4割程度多収である (表3) 。
- 心止まり型でジョイントレス果柄を持つ無支柱栽培用品種で、さらに果実の貯蔵性も高いことから、省力栽培・省力収穫(1週に1回収穫)が可能である。
- 萎ちょう病(レース1・2)と半身萎ちょう病に対する抵抗性を有する。
|
成果の活用面・留意点 |
- 熟期がやや遅いため、低温下では生育遅延による成熟不良の可能性がある。このため、育苗期の温度確保を心がけて生育遅延を避けるとともに、適期播種を守る。
- 若苗で定植する場合は、初期着果を安定させるためにホルモン処理を行う。
|
図表1 |
|
図表2 |
|
図表3 |
|
図表4 |
|
図表5 |
|
図表6 |
|
カテゴリ |
育苗
栽培技術
新品種
抵抗性
トマト
播種
病害抵抗性
品種
輸送
|