タイトル |
晩生で良質な緑茶用新品種候補‘枕崎19号’ |
担当機関 |
野菜・茶業試験場 |
研究期間 |
1999~2008 |
研究担当者 |
佐波哲次
大前英
田中淳一
武弓利雄
武田善行
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発行年度 |
1999 |
要約 |
〔要約〕良質,多収で耐寒性の優れた晩生系統‘枕崎19号’を育成した。煎茶品質は,色沢が鮮緑色で細よれし,滋味は渋みが少なく,うま味に富む。早生,中生品種と組み合わせると摘採期の幅が広がる。
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キーワード |
良質、多収、耐寒性、晩生系統、‘枕崎19号’野菜・茶業試験場 茶栽培部 暖地茶樹育種研究室
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背景・ねらい |
茶業農家の経営の安定化を図るためには摘採期の分散と茶工場の稼働率を高めることが重要である。近年,優良な早生,中生,中晩生品種が育成され,‘やぶきた’に偏重した品種組み合わせにおいても選択の自由度が大きくなったが,晩生の優良品種が非常に少ないことから良質,多収な晩生品種の育成が望まれている。
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成果の内容・特徴 |
- 育成経過
‘枕崎19号’は1972年に‘かなやみどり’を種子親,‘やぶきた’を花粉親とした交配によって得られた実生群中より選抜,育成された系統である。1991年から1999年まで系統適応性検定試験(系適)および特性検定試験に供試され,栽培形質,品質ともに優れていることから新品種の候補として有望と判断された。これにより農林登録および種苗登録について検討を行う。
- 特性の概要
(1)一番茶の萌芽期および摘採期は‘かなやみどり’よりもやや遅く,中生の‘やぶきた’より5~6日遅い晩生種である。このため早生,中生品種と組み合わせることにより摘採期の幅が広がる(表2,表3,図1)。 (2)樹姿はやや開張型で寒害(赤枯れ,裂傷型凍害)に強く,樹勢は‘やぶきた’と同等のやや強である(表1) 。 (3)耐病性は炭疸病にはやや強,もち病には中,輪斑病には弱である(表1)。 (4)新芽の硬化が遅いため,適期摘みされた製茶原葉は柔らかく,製造しやすい。生葉収量は‘やぶきた’よりも多収である(表2,表3)。 (5)煎茶品質では,外観は鮮緑色で細よれし優良である。滋味はタンニン含量が低いため渋みが少なくて,うま味があり優良である(表2,表3)。 (6)秋芽の生育停止期が早く,このため裂傷型凍害には強い(表1) 。
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成果の活用面・留意点 |
- 耐寒性があり,普及地域は全国の茶栽培地帯が対象である。
- 定植後の初期生育がやや緩慢である。特に,重粘土壌では生育が劣ることがあるので注意を要する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
育種
経営管理
栽培技術
新品種
耐寒性
茶
凍害
品種
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