ハスモンヨトウ・キチナーゼ遺伝子のクローニングとタンパク質発現

タイトル ハスモンヨトウ・キチナーゼ遺伝子のクローニングとタンパク質発現
担当機関 野菜・茶業試験場
研究期間 1998~1999
研究担当者 篠田徹郎
小林淳(三重大工)
松井正春(農環研)
発行年度 1999
要約 〔要約〕ハスモンヨトウからクローニングしたキチナーゼ遺伝子を、バキュロウイルスに導入し、高いキチナーゼ活性を持つ組換えタンパク質を得た。本種のキチナーゼとウイルス由来のキチナーゼには、基質特異性及び分泌性に明瞭な差が認められる。
キーワード ハスモンヨトウ、クローニング、キチナーゼ遺伝子、バキュロウイルス、組換えタンパク質、基質特異性、分泌性野菜・茶業試験場 環境部 虫害研究室
背景・ねらい 昆虫のクチクラおよび消化管の内膜は、キチンを主成分としているため、キチナーゼを人為的に投与することで、害虫の成育を阻害できることが期待される。特に、昆虫が脱皮時に自己のクチクラを分解するために生産するキチナーゼは、他の生物種由来のキチナーゼに比べて高い効果を持つ可能性がある。そこで、野菜・花きの重要害虫であるハスモンヨトウのキチナーゼ遺伝子を単離し、組換えタンパク質を作成してその特性を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 単離したハスモンヨトウのキチナーゼ遺伝子(DDBJ登録番号:AB032107)は、脱皮期特異的に表皮細胞で発現する(図1)。
  2. 単離したキチナーゼ遺伝子をバキュロウイルスに導入し、さらにウイルス自身のキチナーゼ遺伝子をノックアウト(発現停止)することで、ハスモンヨトウ・キチナーゼのみを生産する組換えウイルスを構築した(図2)。
  3. ハスモンヨトウ・キチナーゼとウイルス・キチナーゼには、低分子のキチンに対する基質特異性に明瞭な差が認められる(図3)。
  4. ウイルス由来のキチナーゼは、主に昆虫培養細胞内に留まるのに対し、組換えキチナーゼは、培地中に速やかに分泌される(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 本遺伝子は、遺伝子組換えによる昆虫ウイルスの改良や、耐虫性野菜・花き品種作出の素材として有用と考えられる。
  2. 組換えキチナーゼは、キチナーゼ阻害物質のスクリーニング試験に利用できる。また、微生物農薬の補助剤としての利用も期待される。
  3. ハスモンヨトウ・キチナーゼが昆虫の発育に及ぼす効果は未検討である。
図表1 227635-1.jpg
図表2 227635-2.jpg
図表3 227635-3.gif
図表4 227635-4.gif
カテゴリ 病害虫 害虫 農薬 品種

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