自動転倒ゲートを利用した水車式除塵装置

タイトル 自動転倒ゲートを利用した水車式除塵装置
担当機関 農業工学研究所
研究期間 1998~1998
研究担当者 奥山武彦
奥島修二
後藤眞宏
小綿寿志
片山秀策(現技術会議)
発行年度 1998
要約 流量変動が大きい排水路や小河川において、流水エネルギーを有効に利用して水路の除塵を行うために、自動転倒ゲートを利用して小流量時にも断続的に水車を動かす水車式除塵装置を開発した。
背景・ねらい 多くの農業用ため池では流域の都市化、混住化によって流入するゴミの量が多くなり、水質や景観の悪化が問題になっている。ゴミ除去には多くの労力を要し、また省力化できる除塵機は高額の設置費と維持管理費を必要とするため、低コストで維持管理が容易な除塵システムの開発が求められている。そこで、排水路や小河川の流量変動に対応して流水エネルギー(流水の運動エネルギー)を効率よく動力に変換し、安定した除塵を行うために、自動転倒ゲートを利用した水車式除塵装置を開発した。
成果の内容・特徴 自動転倒ゲートを利用した水車式除塵装置は、フロート式水車、ゴミを掻き上げるレーキを備えたスクリーン、水路脇ヘゴミを排出するコンベアと、小流量時に流れを堰き止めて水車を回転できる流量を間欠的に流出する自動転倒ゲートから構成されている(図1)。この試験装置を溜池へ流入する幅2m、側壁高さ1.5mの排水路に設置して実証試験を行い、除塵性能を確認した。
  1. 試験地の排水路の流量は、生活排水や降雨によって図2のように変動する。自動転倒ゲートを設置しない時は、約0.0065m3/s以上の流量になるとフロート式水車が稼働するが、流量が少なくなると稼働しない問題が生じた。
  2. また、流量の少ない時間が長く続くと、スクリーンにゴミが多くたまり、レーキの掻き上げ負荷が大きくなり、ゴミの掻き上げが困難になるなど故障の原因となった。
  3. 以上のような問題を解決するために、フロート式水車の上流に自動転倒ゲートを設置した。小流量時にも間欠的にゲートが転倒して水車を稼働させて、スクリーンのゴミを掻き上げて排出することが可能となった。図2から1時間に2~6回転倒して、1回の転倒で2分間水車を稼働させ、レーキがゴミを50cm掻き上げ、約2~3時間でゴミを水路の外へ排出した。
  4. 排水路はゴミや土砂が堆積しやすく、転倒ゲートを設置するとゴミの付着や土砂の堆積によって、自動転倒ゲートの稼働が阻害されるため、補助錘を付加することによって、安定な稼働が可能になった(図3)。
成果の活用面・留意点 本装置により取り出される動力は、除塵機以外にも、揚水や水質改善のための攪拌などへの利用も可能である。洪水時には、除塵機の排出能力以上のゴミが短時間に流下することが考えられるため、スクリーンを引き上げるなどの対策が必要となる。
図表1 227785-1.gif
図表2 227785-2.gif
図表3 227785-3.gif
カテゴリ 省力化 低コスト

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