CVMの適用と受益設定による農村公園整備効果の評価手法

タイトル CVMの適用と受益設定による農村公園整備効果の評価手法
担当機関 農業工学研究所
研究期間 1997~1999
研究担当者 松尾芳雄
友正達美
國光洋二
発行年度 1999
要約 農村公園整備について、CVM(仮想状況評価法)の適用と、類似公園の立地状況を考慮した受益設定による整備効果に基づいて費用対効果分析を行う方法を考案した。事業完了地区に適用した結果から、本方法による費用対効果指標は、調査や分析の段階で人為的に変動する可能性が低く、安定性が期待できることが明らかとなった。
背景・ねらい 現在、公共事業の効率性が国民的課題となる中で、事業効果を定量的に把握することが求められている。しかし、農村公園整備の事業効果は、生産性向上等の経済指標で計測し難いことから、費用対効果分析の取り組みが遅れている現状にある。
そこで、本研究では、農業、農村の公益的機能評価で実績のあるCVM(仮想状況評価法)の適用と、類似公園の立地状況から図上で設定する受益範囲に基づいた費用対効果分析法を考案するとともに、費用対効果分析の事業完了地区への適用性を検討し、今後の農村公園整備における事業効果上の留意点を明らかにした。
成果の内容・特徴 農村公園が地域住民にもたらす効果を整理した結果、広範に効果計測が可能なのはCVMであることから、同法の適用が最適であると判断した。
  1. 費用対効果分析の方法
    農村公園整備に対する費用対効果分析の方法は、CVMによる住民の評価額と受益範囲の設定に基づく受益者数から整備による社会的効用の増加額を求め、事業に伴う費用との関係から効率性を評価するものである。
    特に本研究においては、農村公園整備の費用対効果分析にCVMを適用するため、アンケート調査法(図1)及び定量化モデル(図2)を工夫するとともに、費用対効果分析結果に最も大きく影響する受益範囲について、効果の重複計算を避けるため、類似する公園の立地状況から地図上で範囲設定する方法(図3濃い黄色)を考案した。
  2. 費用対効果分析の適用性と分析結果
    事業完了した全国19地区の農村公園について、費用対効果分析を行った結果(表1)、
    1)類似する公園の立地状況から地図上で受益範囲を規定する方法が費用対効果分析結果の安定に有効であること(表2(1)(2)欄)
    2)CVMによる費用対効果分析結果は、推定手法の差により±12%、調査の標本誤差により±29%の変動に収まり、調査や分析の段階における安定性が高いこと(表2(3)(4)欄)
    3)農村公園の事業効果は、整備内容を規定する事業費との相関(r=0.04)が低く、環境整備効果を整備費で代替する従来の評価手法が不十分な可能性があること
    から今回考案した方法が実用的かつ有意義であることが確認できた。
成果の活用面・留意点 事業計画で活用することにより、農村総合整備事業の効率的な計画策定・実施に資する。
ただし、調査に当たっては、標本誤差を少なくするために有効回答数の確保が重要である。
図表1 227805-1.gif
図表2 227805-2.gif
図表3 227805-3.gif
図表4 227805-4.gif
図表5 227805-5.gif
カテゴリ 評価法

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