大気放射冷却のパッシブ利用による青果物冷却の効果

タイトル 大気放射冷却のパッシブ利用による青果物冷却の効果
担当機関 農業工学研究所
研究期間 2000~2000
研究担当者 小綿寿志
奥山武彦
奥島里美
後藤眞宏(北農試)
佐瀬勘紀
発行年度 2000
要約 秋の晴天の夜間は約40~60W/m2放射冷却熱流束が得られ、大気にさらしたレタスは翌朝までに通常の予冷と同程度の温度まで冷却される。風除けや遮光ができる簡易な施設を用いれば,放射冷却の利用効果が高まる。乾球温度と黒球温度の温度差から推定される放射冷却の強度を指標として、被覆を適切に開閉することが可能である。
背景・ねらい 青果物の冷却に費やされるエネルギーの一部を機械装備を用いない自然冷熱のパッシブ利用で補うため、大気放射冷却が作用する環境下に青果物を放置して冷却する際の冷却効果を明らかにする。放射冷却の利用効果を高めるために簡易な施設で風除けや遮光を行う際,周囲の温度・放射環境に応じて被覆の開閉を適切に行うための手法を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 厚手の不透明な被覆資材(A、B)を用いたテントでは、内部の野菜(球モデルで代用)直上面での放射冷却熱流束は屋外芝露場の約30%程度であったが、薄手の被覆資材(C)でアルミ蒸着面を外側に向けて展張した場合では約50%程度であった。農ポリ(D)では屋外と同程度の放射冷却熱流束がテント内で得られた(図1)。
  2. 農工研内に設置した放射冷却利用のための施設は、4.0m×5.0mと5.0m×7.0mの二重パイプハウスであり、内張には厚さ0.1mmの農ポリフィルム、外張には厚さ0.15mmの片面アルミ蒸着フィルムを用い、それぞれ手動巻取り器による開閉を可能とした(図2)。
  3. 内外被覆を開けた状態で、10月下旬、放射収支が上向きに転じる夕方に冷却を開始した品温約20℃のレタスは、翌朝には約7℃まで冷却された。このときの夜間は晴天であり、17~5時の間には約40~60W/m安定した放射冷却熱流束が観測された(図3)。
  4. 風が強い場合は内張を閉め、青果物表面と周囲大気との伝熱を抑えることにより、放射冷却による冷却効果が大きくなる。また、早朝に外張りを閉じて日射の影響を防ぐことにより、出庫までの2~3時間、冷却された野菜の品温上昇を抑制できる。
  5. 乾球温度と黒球温度の温度差を用いることにより、放射収支計を用いずに放射冷却の強度を推定することが可能で(図4)、被覆の開閉を適切に行うための指標となることを見出した。
成果の活用面・留意点 春季と秋季、晴天の夜間で風がなく湿度が低い場合、放射冷却による冷却効果は大きい。一方、曇天時や高湿度の場合は下向きの大気放射が大きくなり、また風速が大きい場合には大気との熱伝達が卓越して冷却効果は減少する。従って、上記の指標を用いて被覆の開閉を自動化した場合には、より効率的な放射冷却の利用が図られると期待される。
図表1 227841-1.gif
図表2 227841-2.gif
図表3 227841-3.gif
図表4 227841-4.gif
カテゴリ レタス

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