個別農家データによる水田賃貸借市場の分析手法

タイトル 個別農家データによる水田賃貸借市場の分析手法
担当機関 (独)農業工学研究所
研究期間 2001~2002
研究担当者 遠藤和子
合崎英男
三橋初仁
國光洋二
発行年度 2001
要約 個別農家に対するアンケート調査データを基に、離散選択モデルを用いて水田賃貸借における需要関数、供給関数を推定する手法を考案した。これにより地域性や農家の状況に応じた地代と水田賃貸借量の特性が分析できる。
背景・ねらい
水田農業の生産性向上のため、賃貸借等の農地流動化による担い手への農地集積が政策的に求められる中で、水田賃貸借の特性を解明することが緊急の課題となっている。しかし、公表統計における水田賃貸借関係のデータは、地域別の集計値であり、集計時点で個々の農家に関する情報が消失しているため、これらデータを使って需給それぞれの側面から賃貸借市場を分析することは困難であった。そこで本研究では、個別農家のアンケート調査によるミクロ・データを使って水田賃貸借における需要関数、供給関数を推定し、水田賃貸借量と地代水準を定量的、実証的に分析する手法を開発した。
成果の内容・特徴
  1. 分析の方法(図1)
    農地を貸す主体は経営規模3ha未満の中小規模農家を想定し、借りる主体は経営規模3ha以上の大規模農家を想定する。それぞれに対し、あらかじめ設定した金額を提示し、農地を貸しても(あるいは借りても)よいか否かを2肢選択形式のアンケート調査で聞き取る。個別農家の利潤最大化行動から導出される農地の派生需要関数を基に、確率項を含む離散選択モデルを定式化し、農地の貸し手、借り手のデータを用いて具体的に水田賃貸借市場の需給関数を推定し、両関数の交点から均衡地代、均衡数量を求める。
  2. 分析結果の特徴
    北海道、沖縄を除く中小規模農家7,920戸、大規模農家925戸に対する調査データを使い、水田賃貸借市場の需給曲線を求めた。その結果、均衡地代は、生産費調査の実勢地代とほぼ同程度となり、供給、需要共に需給均衡点の価格弾力性(η)は1を下回り非弾力的であること(図2)、賃貸借の行為自体を嫌っている農家(中小規模農家の1/3、大規模農家の半数を占める)を除けば、均衡地代はほぼ現状のまま賃貸借量が増加し、水田賃貸借市場は弾力的となること(図3)、が明らかとなった。

成果の活用面・留意点 本手法を活用することにより、地域性や農家の状況に応じた水田賃貸借市場の特性が分析でき、農地流動化施策の検討に活用できる。ただし、アンケート手法の改善や畑に対する適用可能性等の検討が必要である。
図表1 227872-4.jpg
図表2 227872-5.jpg
図表3 227872-6.jpg
カテゴリ 経営管理 水田

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