20.ため池の洪水ピーク低減機能と空き容量の効果の確率的な評価

タイトル 20.ため池の洪水ピーク低減機能と空き容量の効果の確率的な評価
研究期間 2001~2002
研究担当者 加藤 敬
小林宏康
木強治
浪平 篤
発行年度 2002
要約 ため池の洪水ピーク低減機能を、降雨波形特性と確率雨量に基づく流入・放流量とため池下流水路の通水能力の比較から評価した。対象のため池では、満水位でも洪水ピーク低減機能があり、さらに洪水前の水位を満水位より1m低く管理すると、水路が溢水する確率を満水時の2年に1回から、10年に1回にまで改善できる。農業工学研究所・農地整備部・上席研究官
背景・ねらい 全国に整備の必要なため池は約2万ヶ所あるといわれる。このうち、周囲が都市化して受益面積が減少したため池については、かんがい目的以外の多面的機能をも評価して、その増進を図るよう整備することが求められている。そこで、対象のため池における流域の流出モデルを作成、降雨分布特性と確率雨量を考慮して、ため池の洪水低減機能と空き容量との関係を下流水路の通水能力を指標として評価した。
成果の内容・特徴
  1.  大阪府松沢池を評価対象とした(図1)。本池は、総貯水量25.2万m3)、満水面積(Aw)0.067km2)、流域面積(A)1.13km2)であり、流域面積に対する満水面積の比A/Aw=17の値は小さく(<30)貯留効果が期待できる規模である。

  2. ため池の水位~貯水量曲線と洪水吐の放流特性をもとに、観測水位からため池の流入
    量と放流量を推定した結果、1994~1997年の最大規模洪水での洪水流出ピークの低減割合((流入量ピーク-放流量ピーク)/流入量ピーク×100)は37%であった(図2)。

  3. 当該地区の降雨波形特性は、大きな雨ではピーク雨量は一雨の継続時間の中央1/3の内側に生じている。ピーク雨量を中央にもつ、様々な確率年の雨に対する本ため池のピーク流入量、流出量を解析した(図3)。確率年5~200年の雨に対する洪水流出ピークの低減割合は40~37%となった。

  4. 確率年に対するピーク流入量、放流量の関係を図4に整理した。本図では、洪水前の
    水位として、満水位と満水位より1m下がっている(空き容量6.1万m3)場合の放流について掲載している。ため池の下流水路における通水能力5.9m3/sと、本図に示したピーク流入量、放流量とを比較した結果、ため池がなかった場合では水路は頻繁に溢水するが、ため池があれば満水状態でも溢水頻度は2年に1回程度であることがわかる。さらに、洪水前の水位を満水位より1m下げることが可能であれば、溢水頻度は10年に1回程度にまで改善される。一般に、かんがい期のため池は、水が使用されて空き容量が大きくなるので、低減機能の増強が期待できる。


成果の活用面・留意点 ため池の有する洪水ピーク低減機能は、満水面積、洪水吐の大きさ等の影響を受けるので、個々のため池の特性を考慮して評価する必要がある。

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