地下ダム建設による地下水質環境の変化

タイトル 地下ダム建設による地下水質環境の変化
担当機関 (独)農業工学研究所
研究期間 2002~2004
研究担当者 石田 聡
今泉眞之
土原健雄
発行年度 2004
要約 地下ダム事業が完了した沖縄県宮古島の地下水質調査結果によれば、水質に与えるダム建設の影響は小さく、施肥量の変化が数年後の水質に反映されている。他の事業地区でも水質等の長期観測により、ダム建設の影響評価及び事業完了後の水質予測ができる。
キーワード
地下ダム、宮古島
背景・ねらい 琉球石灰岩分布地域は地下水の貯留に適しているため、国及び沖縄県によって大規模地下ダムが施工され、これらは次々と完工し貯留水の利用の時期を迎えている。このため、地下ダムの建設が地下水の水質に及ぼす影響を把握し、地下ダム建設後の流域の適切な保全計画の策定に資することを目的として、止水壁が完成した沖縄県宮古島の地下ダム流域内における39箇所の地下水観測孔において、窒素濃度、電気伝導度を深度毎に測定した。測定結果を地下ダム完成前の値と比較すると共に、流域内の長期的な水質測定結果と島内の化学肥料販売量の推移を比較した。
成果の内容・特徴
  1. 地下ダムの建設直後には、ダム軸直上流に硝酸態窒素濃度が比較的高い領域が存在していたが(図1)、ダムの供用開始後は、揚水ポンプの運転によって水が循環することによってこの高濃度帯は消失する(図2)。
  2. 長期的な地下水中の硝酸態窒素濃度の傾向は漸減傾向で、特に地下ダム建設の影響は見いだせない(図3)。また濃度は降雨等の影響を受けて変動するが、地下ダム満水後は豪雨による希釈が生じても、帯水層に地下水がより多く蓄えられているので、地下ダム完成前と比べて希釈効果が小さくなって変動幅が小さくなる(図3)。このため、事業完了後は事業期間中より少ない観測回数で全体の傾向を知ることができる。
  3. 肥料販売量と地下水中の硝酸態窒素濃度のピーク時期のずれから、地表で発生した窒素負荷が地下水中の硝酸態窒素濃度として反映されるまでの期間は、およそ6年と見込まれる(図4)。宮古島における肥料販売量が近年はほぼ横ばいであることから、今後暫くは地下水中の硝酸態窒素濃度は横ばいの傾向を示すと予想される。
成果の活用面・留意点 本成果は地下ダム事業地区において、ダム建設の影響評価及び事業完了後の水質予測を行う上で活用が期待される。そのためには事業期間中(出来れば着工前から)なるべく長期間、地下水質及び負荷源の量を調査する必要がある。
図表1 228010-1.gif
図表2 228010-2.gif
図表3 228010-3.gif
図表4 228010-4.gif
カテゴリ 肥料 施肥

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