小規模なため池の維持管理指標策定のための希少沈水植物の生育環境条件

タイトル 小規模なため池の維持管理指標策定のための希少沈水植物の生育環境条件
担当機関 (独)農業工学研究所
研究期間 2003~2005
研究担当者 嶺田拓也
石田憲治
廣瀬裕一
発行年度 2005
要約 希少沈水植物のミズオオバコやマルミスブタが生育する小規模なため池では、利水に伴う水位変動や適度な藻刈り等の管理作業によって、生育期間中の良好な受光量や水質条件が確保されている。
キーワード
希少沈水植物、ミズオオバコ、マルミスブタ、小規模なため池、水位変動、適度な藻刈り、受光量、水質条件
背景・ねらい 農業用水を確保するために整備されたため池は、副次的にさまざまな水生植物の生育場所を提供してきた。しかし、近年、希少な水生植物が多く生育する小規模なため池を中心に、利水需要の減少に伴う管理水準の低下が目立ち始めている。ため池の放棄は、周期的な攪乱に依存していた水生植物にとって、生育環境の悪化を招くことが予想される。
そこで、農村の貴重な生物資源の保全を図りつつ、小規模なため池の維持管理指標を策定することをねらいとして、環境の変動に特に敏感な希少沈水植物の生育環境条件を明らかにした。
成果の内容・特徴
  1. 香川県仲多度地域のため池536カ所の植生調査の結果、平野部の皿池に見られるオニバスを除き比較的規模の小さなため池で多くの希少な植物が確認され、特に希少沈水植物の多くは貯水量2,000m3未満で水深の浅い小規模なため池に出現した(表1)。
  2. 希少沈水植物のミズオオバコとマルミスブタ(図1)が生育する5カ所のため池の利水実態および機能維持の程度から管理水準を類型化すると、Ⅰ:藻刈りや池干しなど利水に必要な管理が維持されている池、Ⅱ:利水実態がなく、堤体管理のみの池、に分類され、Ⅰはさらに管理度合いの高いⅠ-aとやや低いⅠ-bに区分された(図2)。
  3. ミズオオバコやマルミスブタは、藻刈り頻度の低い池(Ⅰ-b)で、安定して生育する傾向を示したが、藻刈り頻度の高い池(Ⅰ-a)や利水実態のない池(Ⅱ)では特にミズオオバコの生育数が少ない傾向を示した(表2)。
  4. ため池利用が継続されている池(Ⅰ-a、Ⅰ-b)では、利水や池干しによる水位の変動がみられたが、利水実態のない池(Ⅱ)では水位の変動は小さかった(図3)。
  5. 集水域内から汚水等の流入がないため、沈水植物の生育期(6月~9月)の水質は、藻刈り頻度が低い池(Ⅰ-b)で全窒素濃度0.6mg/L以下、全リン濃度0.04mg/L以下と生育に適した環境を維持し(図4)、また、利用が継続されている池(Ⅰ)では、生育期間中の群落内受光量が利水実態のない池(Ⅱ)の約2倍で推移した(表3)。
  6. 希少沈水植物の生育にとって良好な光および水質環境は、管理縮小や過度の藻刈りによって悪化するが、利水による周期的な水位変動、適度な藻刈り等によって維持された。
成果の活用面・留意点 小規模なため池における沈水植物の動態は、ため池の維持管理水準の指標に活用しうるが、室内実験や個体群存続可能性分析等による検証が必要である。
図表1 228048-1.gif
図表2 228048-2.jpg
図表3 228048-3.gif
図表4 228048-4.gif
図表5 228048-5.gif
図表6 228048-6.gif
図表7 228048-7.gif
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