稲ワラや藻類等に含有する難分解性有機物の水田における発生実態

タイトル 稲ワラや藻類等に含有する難分解性有機物の水田における発生実態
担当機関 (独)農業工学研究所
研究期間 2004~2005
研究担当者 人見忠良
吉永育生
白谷栄作
高木強治
三浦 麻
濱田康治
発行年度 2005
要約 水中有機物分画法による有機物分画により、難分解性有機物の水田における発生実態を調査した。湖沼における有機物蓄積の原因とされる難分解性有機物の濃度は田面水中で高く、浸出水中で低いことが明らかになった。
キーワード
水中有機物分画法、難分解性有機物
背景・ねらい 湖沼における有機物量の環境基準達成率は40%台と低い水準を推移しており、改善される傾向がみられない。その原因の一つとして湖沼における難分解性有機物の蓄積が進んでいるためのとの報告がある。代表的な難分解性有機物としてフミン物質があり、生物分解が進みにくい有機物である。そこで難分解性有機物の発生源の一つであるといわれる水田を対象にして、現地調査から水中有機物の量的および質的特徴を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 本調査水田(49a)における灌漑期間中の水収支は、灌漑水量;1,156.2mm、降雨量;660.0mm、蒸発散量;450.5mm、表面排水量;143.9mm、浸透量;1,221.8mmであった。表面排水量は総排水量の10.5%と少なく、本調査水田は土壌浸透による排水がほとんどであった。稲ワラは前年の収穫の際に土壌に鋤き込まれ、窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)がそれぞれ54.8kg/ha、28.4kg/ha、110.0kg/haに相当する化成肥料として基肥(4月)と追肥(7月)の2回に分けて施肥された。
  2. 水中有機物分画法(図1、表1)により4つの画分に有機物を分画し、それぞれの全有機炭素(TOC; Total Organic Carbon)を測定した。フミン物質が含まれる疎水性酸画分は難分解性を示す。また、親水性画分にも難分解性有機物が含まれる場合があるとの報告がある。灌漑水、田面水および調査水田直下の排水路側壁からの浸出水中における疎水性酸画分および親水性酸画分の経時変化を明らかにした(図2)。
  3. 田面水中の難分解性有機物濃度は通水開始とともに上昇し、5月下旬から6月中旬にかけて最大値(疎水性酸画分:3.2mg/L、親水性酸画分:3.2mg/L)を示し、その後減少する傾向を示した。また、浸出水中の難分解性有機物濃度は低い値を示した。本調査水田は表面排水がほとんどないため、難分解性有機物の排出は少ないと考えられる。
  4. 難分解性有機物濃度は田面水中で高く、浸出水中で低いことから、水田表面からの排水を抑制する節水型の水管理を行うことにより、難分解性有機物の排出を抑えることが可能である。
成果の活用面・留意点 本成果はある特定地区の結果であるため、他地区の水田における有機性汚濁を評価するには自然的、人為的環境条件に関する現地調査が必要である。
図表1 228069-1.jpg
図表2 228069-2.gif
図表3 228069-3.gif
カテゴリ 肥料 水田 施肥 水管理

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