関東平野中央部の地下地質構造を解明する40万年前の火山灰

タイトル 関東平野中央部の地下地質構造を解明する40万年前の火山灰
担当機関 (独)農業工学研究所
研究期間 2003~2005
研究担当者 中里裕臣
井上敬資
中西憲雄
黒田清一郎
奥山武彦
発行年度 2005
要約 約40万年前に中部山岳地帯から噴出したTE-5a火山灰は、特徴的な岩石学的特性を持ち、ボーリングコアからの検出・認定が容易である。この火山灰の追跡により関東平野中央部の地下地質構造が把握され、伏在断層の活動度評価が可能となる。
キーワード
TE-5a火山灰、ボーリングコア、関東平野中央部、地下地質構造、伏在断層、活動度評価
背景・ねらい 変動帯に位置する日本では各所に断層が分布し、新潟県中越地震のように既知の活断層を震源断層としない内陸直下型地震も発生している。このため、特に被覆層を変位させる伏在断層の活動度評価手法の確立は、農業用施設立地条件の評価にとどまらず農村及び都市生活基盤の安全性評価の上で重要である。関東平野中央部ではいくつかの伏在断層系が知られているが、これらによる地形変位量は小さく、活動度評価のためには、十分な精度の地下地質層序の確立が求められている。本研究では、ボーリングコアから鍵層となる年代既知の火山灰を検出し、関東平野の地下地質層序を確立することにより伏在断層の詳細な活動度評価を可能にすることを目的とする。
成果の内容・特徴
  1. TE-5a火山灰は、SiO2に富む火山ガラスと鉄に富む重鉱物からなり、黒雲母を多く含む特徴的な火山灰である(図1)。この火山灰は中部山岳地帯を噴出源として、東方の関東平野一円に分布しており(図2)、房総半島における研究では、約41万年前の汎地球的な温暖期の直後の層準に挟在されることが明らかにされている(町田・新井、2003)。
  2. 本研究では、関東平野中央部の21カ所のボーリングコアを観察し、複数の地点で本火山灰を認定した(図2)。本火山灰に豊富に含まれる黒雲母は肉眼観察による認定が容易で、地層として認定できない場合でも、まず黒雲母散在層準を探し、その部分に含まれる火山ガラスや重鉱物の屈折率特性や化学組成を分析することにより検出できる。
  3. TE-5aを基底付近に含む地層は下総層群地蔵堂層と呼ばれ、関東平野中央部では主に層相の対比から、その基底標高深度は-200mを超えるとされてきた。しかし、本研究によるTE-5aの確認標高は-100~-80m程度であり、下総層群の基底標高は-100mを大きく超えないと推定される(図3)。この結果から関東平野中央部の沈降速度は従来の見積の半分程度と評価される。
  4. TE-5aの認定により、地蔵堂層より上位の下総層群の累層区分が可能となった。その結果、各累層やほかの火山灰の追跡により、地表下100~150mの範囲に複数の時間面を設定することができた(図4)。この結果を利用して、深谷断層では0.5m/千年程度(水野ら、2004)、綾瀬川断層では0.1m/千年程度(石山ら、2005)の平均上下変位速度が推定された。
成果の活用面・留意点 本研究は、(独)産業技術総合研究所活断層研究センター及び地質情報研究部門との共同研究として実施された。本成果は、政府の地震調査研究推進本部による活断層評価の資料としての活用が期待される。
図表1 228082-1.jpg
図表2 228082-2.gif
図表3 228082-3.gif
図表4 228082-4.gif
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