農業用フィルダムの長期浸透及び変形挙動

タイトル 農業用フィルダムの長期浸透及び変形挙動
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究期間 2004~2006
研究担当者 浅野勇、向後雄二、林田洋一
発行年度 2006
要約  湛水後10年以上が経過した農業用フィルダムの浸透量及び変形量の浸透量及び変形量の時間的な収束傾向について検討したところ、浸透量及び沈下量はほぼ湛水開始から5~10年程度で安定化する。
キーワード 農業用ダム、性能、構造、劣化、指標
背景・ねらい  農業用フィルダムの重要な性能指標である浸透性及び変形性に対して維持管理上の限界値を設定することができれば、ダムの維持管理を合理的に行うことができる。一般にフィルダムの浸透量及び変形は経時的に安定化すると言われているが、その時間的変化の傾向を定量的に検証した事例は極めて少ない。本研究では、湛水後10年以上が経過したフィルダムを対象に浸透量及び変形量の挙動観測データの比較を行い、浸透量及び変形量の時間的な収束傾向について整理し、維持管理上の限界値について検討する。
成果の内容・特徴
  1. ダムの浸透性及び変形が時間的に安定化すると仮定すれば、湛水試験後に一定期間のモニタリングを行うことで管理上の目安値を設定することが可能と仮定した(図1)。
  2. 浸透水量7ダム,変形3ダムを対象に経時的な挙動の比較・検討を行った。対象ダムを表1に示す。
  3. 7ダムの湛水開始からの総浸透水量(基本的には堤体下流法尻に締め切り堰を設け,ドレーンにより締め切り堰に導かれた浸透水の流量を計測、コア及び基礎浸透水量と降雨、融雪の地表水の合計と想定される)の経時変化グラフを図2に示す。積雪がある北陸以北のダム(A~D)では3~4月にスパイク状に浸透水量が急増する現象が見られたが、平均的にはすべてのダムで総浸透水量は湛水開始からほぼ横ばいあるいは漸次減少の傾向が観察された。
  4. 農水関係3ダム及び国交省関係のダムにおける圧縮率(%)=(堤頂における沈下量/堤高)×100の経時的変化グラフを図3に示す。時間原点は盛土完了時にほぼ相当する。図からダムの堤高によって値に差はあるが、ロックフィル型(CC)及びアースフィル型(EF)のダムでは、盛立て完了からほぼ5~10年で堤体の沈下量は収束する傾向にあった。
  5. 図4はダム中央部分の沈下コンターの経年変化(1年ごと)を示す。堤体の沈下量が大きい(青色になるほど沈下傾向が大きい)のはダムの中央部の盛土厚が大きな領域であることがわかる。
  6. 以上の結果から、農業用フィルダムの浸透量及び沈下量の目安値を得るための計測期間としては湛水開始から5~10年程度が適当であると考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 湛水から10年以上経過したダムの維持管理の資料として活用できる。
図表1 228127-1.gif
図表2 228127-2.gif
図表3 228127-3.gif
図表4 228127-4.jpg
図表5 228127-5.gif
カテゴリ モニタリング

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