地下水位調節システムと畦畔漏水防止対策による転作作物の安定栽培

タイトル 地下水位調節システムと畦畔漏水防止対策による転作作物の安定栽培
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究期間 2006~2007
研究担当者 国立卓生(中央農研)
若杉晃介
小倉 力
島田信二(中央農研)
藤森新作
濱口秀生(中央農研)
発行年度 2007
要約  大雨時には長時間湛水が発生し、無降雨時は地下水位低下が著しい転換畑において、地下水位調節システムの導入と排水路側や下流側畦畔からの地下灌漑水の漏水防止対策を行うことで、栽培作物に適した地下水位が維持でき大豆等の収量が安定する。
キーワード 排水不良水田、地下水位調節、畦畔漏水防止、転作作物、大豆
背景・ねらい  水田農業では稲・麦・大豆を軸とした輪作体系の確立が求められているが、土壌が粘質であったり、降雨時に湛水するなどの理由から水田の畑利用が困難な地区も多い。この対策では暗渠排水が一般的技術として採用されているが、土壌の透水性は改善されても作物に最適な地下水位を保つことは困難である。そこで、地下水位調節システム(FOEAS)の地下灌漑機能と暗渠排水機能であらかじめ設定した水位維持のための給排水を行うとともに、排水路側や下流側畦畔からの漏水対策としてアゼシート(90cm)を畦畔内に埋設することで、作物に最適な地下水位の維持を実現し、転作作物等の安定多収を図る。
成果の内容・特徴
  1. 転作時に地下水位変動の著しい地区において、FOEASによる地下灌漑に加えアゼシート(ポリ塩化ビニル、幅90cm)で排水路側や下流側畦畔からの地下灌漑水の流出防止対策を施すことで、作物に最適な地下水位を維持する(図1、図2)。
  2. FOEAS導入ほ場は、降雨に伴う長時間の湛水や地下水位上昇が回避されるため、降雨後1週間で地耐力が1MPa以上となり、トラクタなどによる適期作業が可能となるが、対照ほ場は降雨後長時間にわたり、地下水位の高い状態となることから地耐力の向上が困難となる(図3)。
  3. FOEASの導入と畦畔漏水防止対策を施したほ場の地下水位設定を大豆播種日から収穫日までの間、田面から-35cmにすると、降雨による一時的な水位上昇や揚水機場の送水停止による水位低下が発生するが、これ以外はあらかじめ設定した水位を維持する(図4)。一方、対照圃場は降雨に伴う湛水と無降雨時の地下水位低下が顕著となる。
  4. 現地実証ほ場における大豆の坪刈り収量は、対照ほ場の325kg/10a(1ほ場・3カ所平均)に対しFOEASほ場は498kg/10a(5ほ場・15カ所平均)となった。
成果の活用面・留意点
  1. FOEASの施工マニュアルは作成済みである。下層が砂礫などで漏水が著しい水田は適用が困難である。
  2. 降雨に伴う表面水の迅速な排除は、FOEASの暗渠排水機能のみに頼らず、ほ場面の緩傾斜化(1/1000程度)を図ることが望ましい。
  3. FOEASの施工費用は、5ha以上のまとまりがある地区の場合、30a区画で20万円/10a程度、50a区画で17万円/10a程度である。
  4. アゼシート(厚さ0.5mm、幅90cm)の資材単価は4,500円/20m程度である。施工は油圧ショベルを用いて行う。
  5. 経営体育成基盤整備事業等の補助事業の採択条件が満たされれば、農家の費用負担は軽減されるが、地区的なまとまりがない場合、機械運搬経費等からコストが上昇する。
図表1 228157-1.gif
図表2 228157-2.gif
図表3 228157-3.gif
図表4 228157-4.gif
カテゴリ FOEAS 経営管理 コスト 水位調節 水田 大豆 播種 輪作体系

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