草生帯の赤土流出軽減効果評価のための土砂輸送モデル

タイトル 草生帯の赤土流出軽減効果評価のための土砂輸送モデル
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究期間 2005~2007
研究担当者 塩野隆弘
原口暢朗(九沖農研セ)
発行年度 2007
要約  草生帯の赤土流出軽減効果の評価に用いる土砂輸送モデルを提案する。本モデルは、草生帯の各種条件下における土砂輸送過程を数値計算によって再現することができ、赤土流出対策のための草生帯の諸元決定の際の事前評価ツールとして活用できる。
キーワード 草生帯、赤土流出、土砂輸送モデル
背景・ねらい  沖縄地方では、降雨時に畑地からの赤土流出が発生して、水質汚濁や土砂堆積により公共用水域の環境に悪影響を与えている。このため、畑地からの赤土流出対策が急務である。草生帯は、植生を用いて土砂を捕捉する土砂流出対策技術であり、赤土流出対策にも有効である。しかし、草生帯の各種条件と対策効果の関係が十分に示されておらず、多様な条件が想定される現地圃場において合理的かつ適切な草生帯の設計を行うことができない。
 そこで、赤土流出対策を目的とした草生帯の設計に資するため、草生帯の赤土流出軽減効果の評価に用いる土砂輸送モデルを提案する。
成果の内容・特徴
  1. 本モデルは、圃場下流端に設置された草生帯に流入する表面流出水の流速が、植生の抵抗を受けて低下して、表面流出水に含まれる土砂の一部が沈降・堆積し、その他の土砂が草生帯の下流へ輸送される過程を再現する(図1)。
  2. 本モデルは、現地で想定される草生帯の設置条件(地形勾配や草生帯の長さなど)、草生帯上流側の表面流出水の流入流量、土砂濃度等を入力すると、草生帯下流側の表面流出水の土砂濃度等を数値計算により算出する(図2)。これにより、各条件における草生帯の赤土流出軽減効果を事前に評価することが可能である。
  3. モデルの基礎式は、草生帯付近の流れの不等流式と土砂の連続式で構成される。モデルでは、土砂を4つの土砂粒径クラスに区分して取り扱う。また、モデルでは、草生帯内における地下浸透水量および浮遊土砂の巻上げ量をゼロと設定している。
  4. 本モデルによって、現地試験区において観測された、草生帯を通過した表面流出水の土砂濃度の継時的変化や、草生帯を通過した流出土砂の土砂回収期間ごとの土砂量が再現され(図3、図4)、本モデルの現地適用性が確認されている。
成果の活用面・留意点
  1. 赤土流出対策のための草生帯の諸元決定の際の事前評価ツールとして活用できる。
  2. 本モデルでは、草生帯の草種としてセンチピードグラスを対象としている。他の草種に関しては、流れの抵抗に関するパラメータを別途決定する必要がある。
図表1 228178-1.gif
図表2 228178-2.gif
図表3 228178-3.gif
図表4 228178-4.gif
カテゴリ 輸送

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