集落連携による棚田再生計画作成のためのワークショップ

タイトル 集落連携による棚田再生計画作成のためのワークショップ
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究期間 2007~2009
研究担当者 芦田敏文
遠藤和子
坂本誠
福与徳文
発行年度 2008
要約  複数集落の住民が一堂に会して話し合えるテーマでワークショップを実施することにより集落連携の契機をつくり、棚田点検マップや耕作放棄ハザードマップを作成して棚田の現状や将来像を住民間で共有した上で棚田再生計画を作成する。
キーワード 集落連携、棚田点検マップ、耕作放棄ハザードマップ、棚田再生計画
背景・ねらい  戸数・人口が極端に減少した集落で懸念されるのは、棚田等、農地の荒廃が無秩序に進むことである。しかしそのような集落において、集落の住民だけで従来どおり耕作を継続したり、荒廃した棚田を再生したりすることは困難である。こういった問題を解決する方策の一つとして、旧村あるいは学校区の複数集落の住民が連携して、耕作放棄地の増加を抑制したり、荒廃した棚田を再生したりする方策がある。ところが集落連携による棚田再生といっても「よその集落の土地に対してとやかく言えない」といった「集落の壁」が立ちはだかり、なかなか進まないのが実状である。そこで高知県いの町C地区(小学校区)を対象とした介入的研究(研究者が地域づくりの支援者となって実際の地域で手法の検証を行う実践的研究)によって、複数集落が連携して棚田再生計画を作成するためのワークショップ手法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 集落連携の契機:異なる集落の住民が一堂に会し、地域づくりに向けて話し合うことが可能なテーマでワークショップを実施する。C地区では、廃校リニューアル・ワークショップを契機に小学校区の3集落住民が連携し、それが棚田再生活動にまで展開している(表1)。
  2. 棚田点検マップの作成:住民自身が棚田を一筆調査して点検マップを作成し、棚田の現状を再認識する。①まず参加者を、点検対象の棚田を2時間程度で踏査できる班に分け、班毎に棚田の耕作状況を一筆毎に調査する。②耕作状況を「耕作」、「管理」、「放棄」の3区分で記録し、会場に戻った班から点検結果を図面に書き入れ、棚田点検マップを完成させる。③班毎に荒廃状況(雑草の種類や法面崩壊の程度)を発表し、参加者間で情報共有をはかる。C地区のG棚田の場合、3割が「耕作放棄」され、15%が「管理だけ」になっている(表2、図1)。
  3. 耕作放棄ハザードマップの作成:耕作者年齢等から棚田荒廃の将来を予測し、棚田の将来像を住民間で共有する。①現在「管理だけ」の棚田は、10年後には「放棄される」と仮定し、②現在耕作されている棚田に関しては、耕作者年齢を調べ、10年後には耕作者が75歳以上になり、しかも後継者が戻ってこないと見込まれる棚田を「放棄される」と仮定し、10年後の予想図(耕作放棄ハザードマップ)を作成する。G棚田の場合、このままだと10年後には3分の2が「耕作放棄」されることとなる(表2、図1)。
  4. 棚田再生計画の作成:棚田点検マップ、耕作放棄ハザードマップ、棚田荒廃の現状と将来予測データを提示し、それに基づいて地域住民が棚田再生計画を作成する(図1)。G棚田の場合、①荒廃の拡大が予想される棚田西側に農道を整備し、②廃校施設の一部を味噌・豆腐加工場に改造する計画に合わせて耕作放棄地を大豆畑に再生するなど、棚田の現状と将来像を踏まえた上で、廃校リニューアル計画とリンクした棚田再生計画が作成されている。
成果の活用面・留意点
  1. 地方自治体職員、土地改良区職員、JA職員などが地域づくりのコーディネータとなって、棚田再生など、集落連携による地域づくりを支援する場面で活用できる。
  2. 棚田点検マップの作成方法、耕作放棄ハザードマップの作成方法、棚田再生計画の作成方法については、集落単独の活動でも活用できる。
図表1 228207-1.jpg
図表2 228207-2.gif
図表3 228207-3.gif
カテゴリ 病害虫 加工 くり 雑草 大豆

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