| タイトル |
山岳地域における農業保護 |
| 担当機関 |
農業総合研究所 |
| 研究期間 |
1994~1996 |
| 研究担当者 |
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| 発行年度 |
1996 |
| 要約 |
ドイツのバイエルン州は,山岳地域の農地の多面的利用を促すため,標高の高い草地で放牧(アルム農業)を続ける農家に対して,条件不利地域対策,州の農業環境政策等による手厚い直接所得補償(所得の5割程度),副業部門の支援を行っている。
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| 背景・ねらい |
ヨーロッパの共通農業政策(CAP)においては過去20年来,条件不利地域(LFA) 対策を通じて農業条件が厳しい地域の農家に対する所得補償がなされ,景観の保全や過疎 化の防止が図られてきた。本研究はドイツのバイエルン州のLFA,特に「山岳地域」を 事例にとりあげ,LFA対策等の直接所得補償措置がどのような方法で実施され,農家の 所得をどの程度支えているかを明らかにすることによって,我が国の中山間地域対策の参 考に資する。
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| 成果の内容・特徴 |
- ドイツは1975年以来,CAPの枠内でLFA対策を実施してきた。ドイツのLFAは
現在,全農地面積の51%を占め,その大部分は「条件不利農業地域」であり,傾斜がき つく標高が高い「山岳地域」は2%に過ぎない。
- バイエルン州の場合,全農地面積の6割がLFAであり,うち6.6%が「山岳地域」で
ある。これはドイツ全体の「山岳地域」の3分の2に当たる。また5割近くの農家がLF A補償金を受けているが,「山岳地域」の農家の割合は5%程度である024-1.gif">(図1)。
- バイエルン州の「山岳地域」では,1960年代に連邦の地域振興政策によってインフラ整備
がなされた上で70年代以降,LFA対策や州独自の農業環境政策(KULAP)によって 農家に対する所得補償がなされ,かつ農家民宿等の副業部門の振興が行われてきた。
- 同州の「山岳地域」の中の標高900~1500mの高地(アルム)では,6月から9月末にかけ
てのみ,子牛の放牧が営まれている(アルム農業)。ドイツ連邦政府およびバイエルン州 政府は,アルム農業の継続が質の高い乳製品の生産ばかりでなく,変化に富む景観の維持 に役立ち,スキー,ハイキング等のレジャー利用,雪崩や土壌流出の防止のような農地の 多面的利用を促していることを重視し,LFA対策,KULAPによって最も高額な所得 補償を支払っている。
- LFA対策,KULAPに加え,社会構造調整金やガソリン税割引など,ドイツ連邦政府
が80年代から小農保護のために実施している一般的な所得補償措置もまた,「山岳地域 」の農家の所得を支えている。特にアルム農業を営む農家の場合,所得の4割から6割が これらも含めた直接所得補償によって支えられている。また2割は農家民宿や林業などの 副業によって支えられており,純粋な農業生産(牛乳や子牛の販売)による所得は3割に も満たないということが明らかになった(表1)。
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| 成果の活用面・留意点 |
バイエルン州の「山岳地域」において農家数の減少が比較的穏やかで,過疎の問題がない 要因としては,上記の直接所得補償措置や副業に対する支援策の他に,観光資源に恵まれ ていることや,多極分散型の国土計画が充分機能していることが挙げられる。
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| 図表1 |
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| カテゴリ |
中山間地域
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