発展途上国の農村環境の保全に共同体の果たす役割

タイトル 発展途上国の農村環境の保全に共同体の果たす役割
担当機関 農業総合研究所
研究期間 1997~1997
研究担当者
発行年度 1997
要約 発展途上国の農村の環境保全に関して,農村共同体の果たす役割を分析するための枠組みを提示し,インドの事例により実証した。森林資源の保全の効率性については,共同体の特質が影響していることが明らかとなった。
背景・ねらい 分析のねらいは,農村環境の維持に果たす農村共同体の役割を明らかにすることである。
そこでまず,ミクロ経済学的な意思決定理論に基づきつつ,共同体の機能を分析に取り込
むための枠組みを考案した。次に,インドのマディア・プラデシュ州から多様性のある12
の村落を選んで調査を実施し,実際に分析を行った。
経済自由化政策以後,インドは高度経済成長をとげている。同州はインドの中でも経済
的に後進地域であり,森林資源に比較的恵まれているが灌漑が未発達のため農業生産は立
ち後れているという特徴がある。しかし,経済発展の影響下で現在はまさに変化の過程に
あり,研究対象として最適である。
意思決定主体である個人・世帯と農村環境の関係を図1に示した。両者の間に共同体が関与する。農村環境は,自然環境,生産環境,生活環境の3
つの尺度で測定した。共同体の影響については,共同体の特質を表す変数(カースト構成,
男女識字率,土地所有形態,人口移入率,平均的就学年数など)を用いて,その影響を分
析した。
成果の内容・特徴
  1. 人口増加の結果,森林資源は減少してきている。その対策として,参加型森林管理制度
    が採用され,一部の村落では,家畜飼養頭数を有効に削減することに成功していた。村の
    女性識字率とカースト構成が,参加率に有意に影響する。共同体の特質が農民の共同行動
    の効率に影響を与えていると結論できる。
  2. 公共灌漑の未発達な同州では,近年になって,個人所有の管井戸と高収量品種の普及に
    より農業生産性が向上している。このような「緑の革命」の進展は,各農家が単位となっ
    ており,農家の教育水準や資産水準による影響を受ける。しかしそれらの影響を考慮する
    と,農業生産性の面では共同体の固有の特質はあまり影響していない。
成果の活用面・留意点 共同体の影響を統計的に解明したが,統計分析を一層精緻にするためには,調査村落数の
拡大が必要である。
図表1 228429-1.gif
カテゴリ 高収量品種

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