| タイトル |
3肢選択CVMによる環境保全価値の評価と保全費用の負担方法 |
| 担当機関 |
農業総合研究所 |
| 研究期間 |
2000~2000 |
| 研究担当者 |
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| 発行年度 |
2000 |
| 要約 |
CVMにおいて過大評価のバイアスを回避しうる3肢選択法を開発するとともに,それにより阿蘇草原の保全価値を評価した。さらに阿蘇草原の保全には,公と私の併用による保全費用負担の方式がより望ましいことを明らかにした。
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| 背景・ねらい |
農村景観等の外部経済の評価手法として仮想評価法(CVM)があるが,よりバイアスが少なく,かつ簡便な推定方法が求められている。さらに,その結果を実際の費用負担等の制度設計に役立てることが肝要である。
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| 成果の内容・特徴 |
- 支払いカード法は戦略的バイアスには対処できない。この欠点を補うため開発された2肢選択法は、理論的には戦略的バイアスに対処できるが、回答者の心理や関数型の選択等の問題のため,評価額の過大評価が実証されてきており,多くの場合,両者には2倍程度の開きがある(表1)。そこで,過大評価のバイアスに強い3肢選択法を開発した。
- 3肢選択法では,次のような推計手続きをとる。
ある政策によって環境の悪化が防止できるとし,そのための世帯当り政策費用がT 円とする。このとき,「a) T 円なら負担してもよい,b) T 円までは負担しないが,いくらかは負担してもよい,c) 負担しない」の内から,いずれかを回答者に選択してもらう。 さらに,この選択結果と回答者属性等から支払意志額(WTP)を最尤法により推計する。
- 東京都民を対象に阿蘇草原の保全価値を計測した。その結果,3肢選択法を用いたWTPの平均値は1,646円,支払いカード法では寄付の平均値が2,218円,税再配分の平均値が 1,382円
であった(表2)。このように,3肢選択法は支払いカード法に近い評価額が得られ,過大評価 を回避しうる評価手法である。
- 農村景観の保全のための負担方法には,税再配分と寄付金とがあるが,優先順位を質問したところ,両者の負担額を半々とした保全活動への支出が1位であった(表3)。したがって,農村景観保全においても,公と私の併用が望まれている。実際,阿蘇地域においては,募金活動,地元自治体による「野焼き」等の労賃や牧野使用料への補助,農水省・環境庁による保全活動への支援等,多様な取り組みが行われている。このような多様なレベルでの取り組みは,上述の分析とも符合しており,望ましい方向であると思われるが,観光客からのより適切な負担方式などについても検討していく余地があるだろう。
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| 成果の活用面・留意点 |
3選択法は過大評価に強い手法であるから,過大評価を避ける必要のある対象については,今後の活用が期待される。なお,評価額自体については東京都民の限定して使用することが望ましいが,回答の傾向については全国民を対象にした議論にも適応可能と思われる。
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| 図表1 |
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| 図表2 |
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| 図表3 |
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| カテゴリ |
評価法
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