傾斜ハウスに対応したレール懸垂式防除装置

タイトル 傾斜ハウスに対応したレール懸垂式防除装置
担当機関 四国農業試験場
研究期間 1997~1999
研究担当者 角川 修
宮崎昌宏
猪之奥康治
田中宏明
発行年度 1998
要約 本装置は、傾斜ハウス内の梁にレールを敷設し、傾斜上方へホースを巻き上げながら、動力噴霧機から供給される薬液をブームノズルで噴霧する簡易な防除装置である。傾斜下方への移動は重力を利用する。本装置を用いると、遠隔操作で防除作業が行える。
キーワード 傾斜ハウス、レール、動力噴霧機、ブームノズル、防除装置、遠隔操作
背景・ねらい 四国中山間地域では、傾斜地にまで高付加価値生産を目的とした園芸施設が設置されている。傾斜面に建てられたハウス内の機械作業は、転倒や暴走の危険性をともなうことにより、平坦地で使用されている機械や装置をそのまま利用することが困難である。そのため、傾斜ハウスでの防除作業は手散布で行われており、斜面の上り下り及び薬液の被爆等を伴う苦渋作業となっている。そこで、傾斜ハウス内で利用可能な防除装置を開発し、同作業の改善を図る。
成果の内容・特徴
  1. 本装置は、ホース巻き取り装置、防除部、移動補助部から構成され、傾斜ハウス内の畝間の梁にレールを敷設し、ハウス傾斜上端の地上部に設置したホース巻き取り装置を動力源、ホースを伝達媒体として、傾斜下方向の移動は重力を利用し、傾斜上方向へはホースを巻き上げながら動力噴霧機から供給される薬液をブームノズルで噴霧する方式である(図1)。
  2. 本装置は、ホースで防除部を支持しているため、傾斜面での暴走が回避できる。また、ホース巻き取り装置で直接ホースを巻き取るので、ホースの処理が不要である。
  3. ホース巻き取り装置は、ホースリールに可変速モータを取り付けたもので(図2)、適正な速度で傾斜上方へ防除部を引き上げながら、遠隔操作で薬液の被爆なしに防除作業ができる。
  4. 防除部に駆動装置がない簡単な構造(図3)なので、防除部の重量が軽量となり、レール間移動が人力で容易に行える。また、市販のブームノズルが利用可能で、果菜類の防除には垂直ブームノズルで水平散布、花き及び葉菜類では水平ブームノズルで上方からの散布ができる。
  5. レールに2m間隔でホースガイドを設け(図4)、ホースの引張り抵抗を少なくすることで、ホース巻き取り装置の動力を軽減している。
  6. 3畝のトマト栽培ハウス(傾斜10度、畝長25m)の防除作業の散布時間を試算すると12分18秒である。なお、手散布は14分27秒であり15%短縮できる。
成果の活用面・留意点
  1. 移動補助部には、市販のハンガーレール(D社製2-HR)及び付属の滑車のように、レールと滑車との間の抵抗ができるだけ少ないものを使用する。
  2. モータを選定するにあたって、ハウスの傾斜角度と傾斜方向の長さによってホース巻き上げに必要な力が変化するので、L・Wh・g(sinθ+μcosθ)で計算される値を考慮する。
    L:ホース長、Wh:単位長さ当たりのホース質量、μ:ホースガイド動摩擦係数、θ:傾斜角、g:重力加速度
  3. 本装置は傾斜下方向の移動に重力を利用しており、傾斜角度が緩いと防除部に過大な加重が必要となるので、傾斜5度以上の傾斜ハウスの防除作業で使用する。
図表1 228642-1.jpg
図表2 228642-2.jpg
図表3 228642-3.jpg
図表4 228642-4.jpg
カテゴリ 病害虫 遠隔操作 傾斜地 高付加価値 中山間地域 トマト 防除

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