山羊の周年放牧による遊休棚田の雑草管理

タイトル 山羊の周年放牧による遊休棚田の雑草管理
担当機関 四国農業試験場
研究期間 2000~2001
研究担当者 川嶋浩樹
長崎裕司
的場和弘
野中瑞生
発行年度 2000
要約 遊休棚田に繁茂したススキ,イタドリ,クズ等の強勢雑草は,10アールあたり7~8頭の山羊を放牧することにより,約1か月で抑制することができる。その後,1~2頭で放牧を継続すると,約50㎝以下の低草高状態で維持できる。
背景・ねらい
四国中山間の傾斜地では,機械作業に不適な小区画の棚田が多く,農村の高齢・過疎化により遊休地が増加している。遊休地化すると短期間で雑草が繁茂して,農地への復帰が困難になり,景観も悪化する。そこで遊休地の荒廃を防止し,農地へ復帰可能な状態で継続的に管理するため,適正頭数の山羊を放牧して強勢雑草を抑制し,草高の低い植生で安定的に維持・管理しようとする。
成果の内容・特徴
  1. 山羊の可食草の幅は広いが,草種により嗜好性に差がある。放牧当初は嗜好性の高いイタドリや,クズ,灌木の葉等を選択的に採食する。ススキ等嗜好性が低い雑草の抑制には,十分な放牧圧が必要である。(表1,図1)
  2. 遊休化後,数年経過した棚田・法面には,ススキ,イタドリ,クズ,ノイバラ,ヨモギ,ワラビ等の大型の強勢雑草が繁茂する。このような遊休地において,体重約35㎏の山羊を7~8頭/10a放牧することにより,約1か月で雑草の草高を約50㎝以下に抑制することができる。(図1)
  3. 強勢雑草を抑制した後は,1~2頭/10aとして放牧を継続することにより,棚田の裸地を増加させずに,約50㎝以下の低草高の状態を維持することができる。(図2,表2)
  4. この放牧では山羊の体重変動は少なく,高い雑草管理能力を持続しながら周年放牧できる。(図省略)
成果の活用面・留意点
  1. 植生が大きく異なる地域では,頭数,期間を調整する。
  2. 毒性の強い雑草や,嗜好性が特に低い草種は別途除草する。
  3. 山羊の衛生面や,繁殖等について適正な管理を行う。
  4. 冬季の草量不足の補完,ならびに棚田植生の安定化促進のため,牧草類を導入する。

図表1 228829-1.jpg
図表2 228829-2.jpg
図表3 228829-3.jpg
図表4 228829-4.jpg
カテゴリ 病害虫 傾斜地 雑草 除草 中山間地域 ばら 繁殖性改善 山羊 よもぎ わらび

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