海水飼育による雌ウナギの成熟誘起

タイトル 海水飼育による雌ウナギの成熟誘起
担当機関 発生生理研
研究期間 1997~1997
研究担当者 奥澤公一
香川浩彦
太田博巳
田中秀樹
発行年度 1996
要約 養殖雌ウナギは、ホルモン投与を行わない限り飼育環境下では性的に未熟な状態を維持すると考えられていたが、海水中で3ヶ月間飼育することにより、卵黄形成を開始することが明らかとなった。これにより、成熟・排卵までのホルモン投与期間を短縮することが可能となった。
背景・ねらい ウナギ養殖の種苗であるシラスウナギ資源は長期的に減少傾向にあり、それに伴って種苗の価格が高騰し、養鰻経営に大きな打撃を与えている。そのため人工種苗の生産技術の開発が急務となっている。これまでの我々の一連の研究により、養殖した雌ウナギを海水に移行し、これにサケ脳下垂体抽出液を反復投与することにより卵黄形成を行わせ、次にプロゲステロン系ホルモン(17,20β-DHP)を投与することにより、確実に排卵を誘発させることが可能となった。しかし、排卵誘発が可能となるまでのサケ脳下垂体の投与期間は遅いものでは4ヶ月を必要とし、またその期間は個体により大きく変動することが催熟技術を確立する上での大きな問題点となっていた。今回我々は、雌の養殖ウナギが海水に移行して長時間飼育するだけで卵黄形成を開始し、排卵誘発までに必要なサケ脳下垂体の投与期間が短縮化されることを、実験的に明らかにした。
成果の内容・特徴
  1. 2年6ヶ月間淡水中で飼育した養殖雌ウナギを海水に移し、サケ脳下垂体抽出液を海水移行1週間後から投与する群と3ヶ月間後から投与する群に分け、それぞれの群の脳下垂体抽出液投与前の成熟度、並びに投与による催熟効果を比較検討した。
  2. 海水移行1週間後の群に比べ、3ヶ月後のものでは卵径、生殖腺重量の有意な増大が認められ、卵黄形成を開始している個体も多く観察された。
  3. 海水移行1週間後の群では、下垂体抽出液の反復投与によって排卵誘発が可能となるまでに8週から15週(平均10.6週)を要したが3ヶ月後の群では7週から11週(8.5週)に短縮化されるとともに、個体間の変異が小さくなった。
成果の活用面・留意点
  1. 本研究の成果は、ウナギ親魚の催熟に要する労力の大幅な軽減に寄与するものと期待される。
  2. 本研究は、海水に移行するだけで養殖ウナギが卵黄形成を開始することを明らかにした最初の報告である。
図表1 228992-1.JPG
図表2 228992-2.JPG
図表3 228992-3.JPG
カテゴリ 経営管理

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