ホシガレイの眼位異常魚出現抑止試験について

タイトル ホシガレイの眼位異常魚出現抑止試験について
担当機関 福島県水産種苗研究所
研究期間 1996~1996
研究担当者
発行年度 1996
要約 初期餌料の栄養強化面、環境面(収容密度、水槽)から検討した結果、本種の眼位には栄養強化以前に水槽側面からの光が影響していることが示唆された。
背景・ねらい 本県におけるホシガレイの漁獲量は年々減少し、近年では1t前後で推移しているが、魚価が高いため漁業者から資源増大の要望が高い。このため、当所では平成3年以降本種の基礎的試験に取り組み、平成8年には全長90~100mmサイズの種苗を約58千尾放流することができた。しかし、大量の良質卵を確保するための親魚養成技術・採卵技術、眼位異常魚の出現抑止を含めた種苗生産技術においてまだ問題点が残されている。ここでは、健苗を効率的に生産するための眼位異常魚の出現抑止試験の経過を報告する。
成果の内容・特徴
  1. 前年度は、早期にDHA強化餌料を給餌することで異常率の低減化が図られことが示唆されたため、平成8年度は全長8.6mm(フェオワムシ給餌15日間から)、フェオダクチラム並びに市販栄養強化剤(ユーゲレナ、アクアラン)で強化したアルテミアを単独給餌し眼位異常率を比較した。眼位異常率は各区に差はなくその値も高かった。また、全長はフェオ区がが有意に小さく、成長についてはアクアランの有効性が示唆された(表1)。
  2. 1立方m透明バンライト水槽を用い、1水槽当たり0.5,1,2,4万尾づつ収容し、眼位異常率を比較したところ、生残率は密度が高まるほど低下したが、この密度の範囲内では収容密度と眼位異常率との間に相関はみられなかった。生産性を考慮すれば立方m当たり1~2万尾が妥当な収容密度を考えられた(表2)。
  3. 透明バンライト水槽とFRP水槽等を用い両水槽の眼位異常率を比較したところ、側面から光が入らない水槽の眼位異常率は相対的低く(表3)、側面からの光が眼位に影響していることが示唆された。
  4. 当所ではこれまでの試験並びに生産には透明バンライト水槽を用いており、これが眼位異常率を高め、また栄養強化試験の結果を不明確にしていたことが考えられた。平成7年度は、ワムシの培養、飼育水添加にフェオダクチラムを用いたが、100L規模(ウオータパス)での基礎試験における眼位異常率は10~30%と比較的低値であり、フェオダクチラムの有効性が示唆された。しかし、1立方メートル規模では平均70%と非常に高く再現性がなかったことから、水槽の置かれた環境差と考えられた。今後は、照度を考慮した水槽(FRP水槽)で栄養強化と並行して、眼位異常魚の出現抑止技術を確立してゆきたい。
[具体的データ]
表1 アルテミアの栄養強化比較試験表2 収容密度試験結果表3 水槽の違いによる眼位異常率補足資料 平成7年度試験
成果の活用面・留意点 当所では、採卵可能な養成天然魚、人工魚が確保でき、平成7年からは採卵量、ふ化仔魚とも増加している。しかし、眼位異常率が依然高く、平成7年は約7割、平成8年は約3割が異常魚で、これらは放流せず廃棄処分としている。今後、量産に移行するに当たり、この眼位異常率を抑止すれば、生産数量のロスがなくなり放流尾数の増加、選別等作業量の低減化が図られ、効率的種苗生産が可能となる。本試験はまだ緒についたばかりであるが、今回の結果から今後の試験方向が見いだせたことから、飼育初期の生残率の向上とも併せ効率的に試験を進めたい。
図表1 229034-1.gif
図表2 229034-2.gif
図表3 229034-3.gif
図表4 229034-4.gif
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