海洋観測のための定点復帰型プロトタイプブイの開発

タイトル 海洋観測のための定点復帰型プロトタイプブイの開発
担当機関 水産工学研究所
研究期間 1993~1997
研究担当者 船構造研 御手洗哲司
電子研 石井憲
発行年度 1997
要約 三陸沖海域に形成される暖水塊など、移動などを伴う水塊の生産力や構造解明のため、同一水塊内にとどまり各種の海洋観測が可能な定点復帰型ブイシステムの構築に必要な基盤的技術の開発を主目的に、プロトタイプブイを開発した。本ブイは、全長5.4m、DGPS情報を利用した自律定点復帰機能、衛星電話等の通信機能を有し、各種装置・機器の駆動電源を太陽電池と蓄電池(リチウム電池)で供給する形式である。
背景・ねらい 三陸沖に発生する暖水塊は好漁場を形成すると言われ、その水塊の持つ生産力の構造や特徴を把握し、生態系や漁場形成のメカニズムを解明するため、調査船調査を中心とした研究が進められている。これまでの観測報告によれば、暖水塊は生成、移動、消滅を繰り返し、その寿命、規模、形状などについて様々なパターンがある。本研究は、このような発生海域が変動したり、それ自体が移動するような固有の水塊及びその周辺域の同一水塊内にとどまり、長期間安定した海洋観測が可能な定点保持型ブイシステムの構築に必要な基礎的技術の開発を目的とした。なお、本研究は科学技術庁総合研究「世界海洋観測システム構築に資する革新的ブイシステムの基盤技術開発研究」の一環として実施された。
成果の内容・特徴 実海域で運用する場合に予想される様々な問題点の把握と改善策の検討のため、定点復帰型プロトタイプブイの開発と並行して、海域実証実験を実施した。主な成果を次に示す。
  1. DGPS情報を利用した自律定点復帰機能、衛星電話等の通信機能を有し、推進系およびブイ搭載の各種装置・機器の駆動電源を太陽電池と蓄電池(リチウム電池)で供給する形式とした、全長5.4m、全幅1.6m、全高3.26mのアルミ合金製の海洋観測用定点復帰型ブイ(バージ型プロトタイプ)を開発した。
  2. 海域実験により、自律定点復帰機能、衛星電話等の通信機能(ブイシステム監視及び各種のデータ伝送等)などの諸機能が正常に作動することを確認した。
  3. 定点復帰後の海洋観測モードについては、概ね正常に観測モードに移行することを確認した。なお、今回ブイに搭載した海洋観測機器は、プロファイル採水システム(最大水深50m)、栄養塩センサ及び基礎生産センサである。
成果の活用面・留意点 本研究では、開発したプロトタイプブイは、海象条件など一定の制約はあるものの、三陸沖の海域において生成、移動、消滅を繰り返す暖水塊の観測など、任意の定点に復帰あるいは移動可能な特徴を活かした海洋観測システムとして有効に活用できる。今後、より厳しい海象条件下の運用や観測を可能とするなど、さらに長期間かつ安定した観測に資する海洋観測ブイシステムとして実用化するためには、一層の省エネルギー対策、省エネルギー型小型高パワー推進系の開発、制御系の信頼性向上対策などが必要である。
図表1 229055-1.gif
図表2 229055-2.gif
カテゴリ GPS 省エネ・低コスト化

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